日本海事新聞社 物流ウェビナー2
 印刷 2020年11月30日デイリー版2面

乾汽船、外航営業損失38億円。通期、渡航制限でコスト5億円

 乾汽船の乾康之社長は26日に公開した決算説明動画で、2021年3月期通期の外航海運事業の営業損益が38億円の赤字となる見通しを明らかにした。前期は26億円の赤字。コロナ禍による年度初めのドライ市況下落に加え、船員交代や隔離措置などの渡航制限に伴うコスト増5億円(船舶不稼働リスクを除く)が響く。

 乾社長は主力のハンディサイズバルカー市況について「世界中のロックダウン(都市封鎖)などの混乱の影響もあり、年度初めから急激に下落した」と説明。その後は混乱収束に伴い回復基調に入ったが、当初の落ち込みが大きく、通期の減益要因となる。

 さらにマーケットの傾向として、大西洋が高く、太平洋が低い「"西高東低"が顕著になった」と指摘。背景には船員交代問題があり、渡航制限に対応してフィリピンをはじめとするアジアの船員供給国での交代が増加したことで、太平洋に船腹が集中し、船数が減少した大西洋で市況が上昇した。

 9月末時点のハンディサイズ運航船隊は自社保有21隻、長期用船3隻を合わせた24隻。上期の貨物構成は、ニュージーランド―中国航路を主力とする木材が全体の26%を占め、積極的な営業により前年同期比10ポイント増加した一方、石炭とセメント、スラグは鈍化した。

 倉庫・運送事業の通期営業損益は3億4800万円の赤字(前期は4500万円の黒字)となりそう。コロナ禍で引っ越し部門の転勤需要が落ち込んだことに加え、19年度下期に増床した倉庫が十分な稼働に至っていないことが響く。

 不動産事業の通期営業利益は3%減の24億円と堅調を見込む。適正な賃料設定に取り組んだ上で高稼働を実現している。