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 印刷 2020年11月20日デイリー版1面

インタビュー 船管会社のグローバル展開】太洋産業貿易社長・今田圭介氏、西アフリカ輸送 支援

太洋産業貿易社長 今田 圭介氏
太洋産業貿易社長 今田 圭介氏

 70隻以上の船員配乗管理を手掛ける太洋産業貿易(横浜市)。海技力を生かしたグローバルなサービスネットワークの構築に向けて、欧州や西アフリカの企業と協力し、ベルギーには駐在員も派遣する。今田圭介社長にコロナ下での舵取りなどを聞いた。

(聞き手 山田智史)

 ――船舶管理は新型コロナウイルス感染拡大で大きな影響を受けている。

 「各国政府の出入国規制や移動制限により、船員の交代ができなくなった。造船所や修繕ヤードに派遣される監督、荷役を監督するポートキャプテンなどの移動もままならなくなった」

 「当社はフィリピンとベトナムに船員の配乗拠点を持ち、海技技術者(海技者)を抱えている。船主やオペレーター(運航会社)が海技者を派遣できなくなったため、われわれのネットワークを生かして、フィリピンの造船所やベトナムの港に建造監督やポートキャプテンを派遣して対応した。海上に加えて、陸上にもサービスの広がりが出てきた」

 「船員交代はオペレーターや船主の理解もあり、マニラ湾やベトナムに直接寄港しての船員交代も行っている。シンガポールには海技者も派遣できるようになった。だがコロナ禍の第3波も懸念される中で、船員交代や海技者の派遣が正常化するには時間がかかりそうだ」

■配乗管理70隻超

 ――船舶管理事業の概況は。

 「配乗管理と保船管理の両方を手掛けるフル管理船が13隻(自社船3隻含む)ある。そのほか配乗管理のみを受託している船が約60隻あり、来年にかけてはフル管理船、配乗管理船を合わせて新たに10隻程度のお話を頂いている」

 「配乗管理は在来船・重量物船、バルカー、コンテナ船、自動車船など、リキッド船以外の全ての船種に対応している。バルカーは3万重量トン級のハンディサイズから30万重量トン級の大型鉱石船まで幅広く対応できる」

 「フル管理船は在来船が多く8隻ある。在来船は航海ごとに積載する貨物や航路が違い、高度な積み付け技術も要求される。在来船から3万9000重量トン級ハンディサイズバルカーやログバルカーなどの、カーゴや航路の多様な船で当社の海技力が最大限に発揮できると考えている」

 「自社保有の在来船3隻は、船員教育を実践する場と位置付けている。船主リスクをわれわれが負い、オペレーターの協力の下で若手船員に経験を積ませる。経験を積んだ船員をお客さまの船に配乗させる。在来船はシーマンシップを養うのに適している船種だと思う」

 ――船員の配乗体制は。

 「フィリピン人約3000人、ベトナム人約300人を抱えている。当社は他社に先駆けて、1991年設立のフィリピンの船員配乗会社と専属パートナー契約を結び、同国人船員の配乗をお願いしている。当社が求める水準の海技者を育成するために、採用から教育、訓練を一貫して行う体制を確立している。日本人も航海士・機関士を継続的に採用し、海技力の伝承に努めている」

 「当社は特に海技者の育成に力を入れている。マニラでは自前のトレーニングセンターも運営している。船橋と機関室のシミュレーターを備え、総合的な訓練を行える体制を構築。他の船員配乗会社にも研修サービスを提供している」

 「乗船前研修だけでなく、乗船後にインターネット経由で受講する当社独自の研修も用意している。船上で発生した故障や不具合に関する全ての情報を収集・蓄積するシステムも構築。トラブルの原因を分析し、全船で共有し再発防止を徹底している」

■ベルギー人員配置

 ――欧州、西アフリカの企業と提携した。

 「当社はベルギーのフォワーダーのスチールダックス、ガーナの海運代理店のセブンログと共に、SSTグループという協力関係を結んでいる。極東と欧州、西アフリカを結び、西アフリカの経済発展に伴う輸送需要の高まりに対応していく」

 「西アフリカ向けの貨物はいったんアントワープに集められ、そこから輸送されることが多い。3社の知見とノウハウを持ち寄り、インフラ関連貨物などの輸送ニーズに応えていきたい。アントワープの拠点には当社の海技者と日本人の営業担当者を配置する予定だ」

 「そのほか、当社は日本からコンゴ民主共和国へ輸出される船積み貨物に取得が義務付けられているFERIと呼ばれる書類の発行手続きの日本における代理店でもある。西アフリカ向けの物流をグループの総合力と当社の海技力でサポートしていきたい」

 いまだ・けいすけ 77(昭和52)年防衛大卒、86(昭和61)年太洋産業貿易入社。企画担当部長、代表取締役副社長などを経て、15年から現職。横浜市出身、65歳。