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 印刷 2020年11月17日デイリー版3面

リーンエナジー、荷主の入札管理 効率化。業務負荷大幅軽減で利用拡大

高山CEO(左)と村上健一郎CTO(最高技術責任者)
高山CEO(左)と村上健一郎CTO(最高技術責任者)

 ベンチャー企業リーンエナジー(高山敏彰CEO〈最高経営責任者〉)が開発した、荷主の入札支援プラットフォーム(PF)「e-Bid Freight」(EBF) が順調にユーザーを拡大している。多くの荷主が入札をエクセルなどスプレッドシートで管理しているが、手作業によるミスや非効率化が課題となっている。EBFではデータ統合を自動化し、各種条件比較を容易にすることで、荷主の入札担当者の業務負荷を大幅に軽減する。利用荷主は現在約30社だが、年度内に50社までの拡大を見込む。2021年中に利用者100社、シンガポール進出も目指す。

 リーンエナジーは法政大学ビジネススクール発のベンチャー企業で、電力消費量の可視化を軸としたエナジー事業と、EBFを中心としたロジスティクス事業を2本柱とする。

 高山CEOはエナジー事業で関連機器を輸入する際、見積もりから発注まで手続きが非常に煩雑で、中小荷主には大きな負担になっていることに気付き、荷主と物流業者のマッチングプラットフォーム(PF)の開発に着手した。業界内でヒアリングする中、大手荷主では海上・航空問わず国際物流の入札管理業務が大きな負荷になっていることが分かり、この効率化・合理化に取り組むこととした。17年10月にEBFサービスを本格化。昨年、バージョン2をリリースした。

■入力ミスを防止

 多くの荷主企業では、応札企業から提出されたスプレッドシートを、荷主側担当者が主に手作業で統合。ミスが起こりやすいだけでなく、膨大なデータを担当者が個別に組んだマクロ(計算式)で比較するなど、業務の属人化や非効率化も大きな問題となっている。

 ある荷主企業の事例では、航空2000レーン、FCL(コンテナ単位貨物)1500レーンの入札に、フォワーダー15社を招待している。レーン当たりの入力項目数は56項目で、最終的に確認する項目(セル)数は、300万弱にも達する。

 EBFでは、定期入札案件で応札各社からのデータを自動的に統合。提示運賃や輸送時間など、荷主の希望に合わせた項目でランキングを表示することが可能で、提案内容の比較が容易になる。応札者の入力ミスや、指定外項目の記入なども事前に排除することができ、「担当者はエクセルとの格闘から解放され、物流改善など付加価値業務に注力することができる」(高山CEO)という。

 このほか、プロジェクトごとにメッセージを管理できるため、事後の監査などにも活用できる。マルチカレンシー(複数通貨)で、欧州中央銀行(ECB)の換算レートをリアルタイムで取得するほか、自社で設定した換算レートも登録可能だ。

 これまでの応札数は1万3846件に達し、世界の主要コンテナ船社の大半と取引があるという。

 リーンエナジーの試算では、500レーンの入札に20社を招待した場合、400人時間、約160万円のコスト削減が可能だという。

■コロナが追い風

 新型コロナウイルス感染拡大による在宅勤務拡大も、入札のデジタル化に追い風となっている。

 また、コロナ禍による市場の混乱で、年初に取ったレートでの取引が難しくなるなどの問題が生じている。再入札を希望する荷主も多いが、「エクセルベースで年複数回の入札を行うのは現実的ではない。EBFであれば、荷主・業者とも大きな負荷なく入札を行うことができる」(同)。

 物流関連のシステムは「貿易で何が重要なロジックか理解した人が設計しないといけない」ため、大半が自社開発。高山CEO自身、荷主企業で貿易を経験し、通関士の資格も持っている。

 今後は、過去の入札案件との比較などの分析機能を持つ「e-Bid Analytics」(EBA)、市況分析・運賃予測などの機能を持つ「e-Bid Index」(EBI)などの新サービスも開発中だ。EBAは21年度前半の導入を目指す。

 入札の定期案件だけでなく、当初狙っていたスポット案件のマッチングも本格化したい考え。中小企業の与信の問題や、物流業者側が「相見積もりだけ取られるのでは」と消極的になる問題があるが、21年はこの問題を解決するための仕組みづくりを行うとしている。

 高山CEOは「(定期入札で)大手荷主のアクティブユーザーが100社を超えれば、(マーケットプレイスとして)一定の信頼が得られる」と見ている。

 国際物流業界はプレーヤーが多く、取引の標準化・効率化が遅れている。リーンエナジーはEBFなどのPF整備を通じ、今後も業界のデジタル化を支援していく。