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 印刷 2020年11月11日デイリー版2面

MariTech 海事未来図】アイテックマリン、内航船員不足・離職問題解決へ。動画・SNS活用。育成 デジタル化支援も

ユーチューブに船員の仕事などを知ってもらう動画を投稿
ユーチューブに船員の仕事などを知ってもらう動画を投稿

 ITを活用した海運業界の情報発信、課題解決を理念に、2019年に福岡市で物流業界のスタートアップであるアイテックマリン(石川和弥社長)が誕生した。内航の最重要課題である船員の不足・離職問題の解決へ向け、動画やSNS(交流サイト)による会社紹介、船員育成のデジタル化サービスを展開する。ITリテラシーの有無によらずに利用できる同社のサービスに、業界内外から注目が集まる。

 石川社長はもともと三井物産に勤務。内航・外航ケミカルタンカーの配船・運航業務に従事し、船員不足・早期離職に苦しむ内航海運業界の厳しい状況に触れた。

 「業界をより広く知ってもらい、海運会社の発展や船員職の魅力向上へつながる仕事をしたい」と考え、創業した。

 創業後は、半年間ひたすら船主・船員と面会を重ねた。「さまざまな人と話して、喫緊の課題は船員不足だと改めて感じた。海運業の一番の使命は安全・安定輸送。その実現には、現場を支える船員の不足・離職などの問題を解決することが大事だ」と語る。

 現在、同社は海運業界の認知度向上や、船員志望者、現役船乗り向けに就職や仕事をする上で有用な情報を配信。新人船員がぶつかりやすい悩みの対処方法や、水先人などの職業紹介などを動画投稿サイト「ユーチューブ」で提供している。

 内航海運業界では50歳以上の船員の割合が半数超を占めるが、業界の努力もあり、近年若年船員の採用が進む。一方で、若年者の早期退職者も目立つ。石川社長はこうした現状を変えようと、現役内航船員100人から得た意見を基に、動画を制作。長期間、職住一体で過ごす内航船で働きやすくするための工夫を紹介している。

 船員採用・育成に苦慮する内航船主を支援するサービスも提供する。船員の就職・転職は近年、インターネットやSNSを活用するケースが増加。一方で自社のホームページもなく、具体的な仕事内容を明確に紹介できていない船主も多い。

 アイテックマリンではこうした船主でも手軽に自社をアピールできるように、会社の雰囲気や魅力が伝わりやすい動画やスワイプ画像を作成し、ユーチューブやツイッターなどで発信することで、採用・ミスマッチ防止を手助けしている。さらに船員育成につながる動画制作・提供も行う。

 教育環境が恵まれない場合、船内での人間関係が悪化し、離職率が高まる悪循環に陥る懸念もある。同社は教育環境を整備する余裕がない船主向けに、基本的な船での作業の仕方などに関する教材動画も制作している。

 各コンテンツは、誰でも短時間に理解できる内容にするよう工夫。通信環境が良好でない内航船で船員がスマートフォンなどで簡単に見られるよう、データ容量も軽い仕様となっている。