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 印刷 2020年11月11日デイリー版1面

MariTech 海事未来図】Veson、運航システム採用300社超。不定期船、DX追い風

 Veson Nautical(本社・米ボストン)が開発・提供する不定期船に特化した運航システム「Veson IMOS Platform」(VIP)を採用する企業が増えている。業務効率の改善や意思決定の高度化に寄与することが評価され、オイルメジャーや資源大手、海運会社など導入企業は300社を超える。デジタルトランスフォーメーション(DX)による事業の変革機運が高まっていることも追い風に、日本企業でも既存の運航システムをVIPに切り替える動きが出てきた。

 VIPは用船契約や運航管理、収支管理、燃料管理など、船舶のオペレーションに関わる一連の業務をカバーするクラウドベースのプラットフォームになる。

 VIPで全ての関連業務を網羅しているが、顧客ニーズに応じて他社製の会計システムなどを容易に接続できることが特長だ。

 定期的にユーザーミーティングを開いて顧客の声を聞き、継続して改善に取り組んでいる。1年間に開発・アップデートする機能は約500件に上るという。

 昨今の環境ニーズの高まりを受け、当該航海からのCO2(二酸化炭素)排出量を自動的に算出する機能も付加した。

 これらVIPの利便性が高く評価され、導入する企業はタンカーやバルカーのオペレーター(運航会社)をはじめ、オイルメジャー、資源メジャー、商社など世界で300社超まで増加。

 最近ではシンガポールの海運大手IMCインダストリアルグループも採用を決めた。用船者である荷主が海運会社に導入を働き掛けるケースもあるようだ。

 日本企業ではこれまでは、シンガポールや欧州の海外法人に採用されるケースはあった。だが、日本の拠点に採用される機会は限られていた。

 日本企業の運航システムは自社開発したものが基本で、第三者が開発した運航システムを導入するのは大きな経営判断を伴うためだ。

 ただ、情報通信技術の進歩や人工知能(AI)の発達などを背景に、システムの陳腐化リスクが高まっている。

 システム開発には時間がかかるが、開発が終わったころには時代遅れになっている可能性もある。システム開発にヒトとお金をかければ対応できるが、そういった余力を確保するのは難しい。

 そういった不定期船社や荷主が直面する運航システムについての課題を解決するために開発されたのがVIPになる。

 Vesonの日本代表を務める光田時雄氏は「不定期船の運航システムのグローバルスタンダードになりつつある」と語り、「運航システムの刷新をおろそかにすれば、収益性で劣後する恐れがある。優秀な人材を確保することもままならなくなる」と指摘する。

 Vesonは2019年3月に日本法人を設立。日本企業の採用が増えたため、日本拠点の人員を6人まで増やした。光田氏は「運航データの収集・分析など本船のデジタル化が進む半面、コマーシャル面のデジタル化には改善の余地がある。VIPが一つのソリューションになる」と語る。