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 印刷 2020年10月19日デイリー版1面

乗船前PCR、複数受検も。検査機関の独自指定で

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、船員に乗船前のPCR検査を確実に受けさせることができるかどうかが、船主や船舶管理会社の課題として浮上している。寄港国によって、有効なPCR検査受検の指定医療機関が異なるケースがあり、寄港国の数によっては、複数回受検しなければならないこともあるという。船舶管理会社関係者は「乗船前の限られた時間に複数箇所を回るのは負担が大きい」と指摘。その上で、「各国が独自に検査機関を指定しているためにこうした問題が起こる。IMO(国際海事機関)などで取りまとめを行ってほしい」と語る。

 感染拡大以降、各国は水際対策を強化。自国に寄港する船舶の船員に対して、乗船前のPCR検査の陰性証明書の提示を求めるケースが多い。だが、国によって有効な受検先として認める医療機関が異なることがあるという。

 寄港先が複数の国に及ぶ場合、乗船前のPCR検査も各寄港国が指定するそれぞれの医療機関で受検を済ませておく必要性が生じている。乗船前に複数箇所を回らなければならず、船員配乗業務の足かせとなっている。

 例えば、フィリピン・マニラで乗船する船員に対し、中国と韓国はマニラ内の複数の医療機関を、自国寄港時の有効なPCR検査の受検先に指定している。それ以外の医療機関でのPCR検査の陰性証明は寄港時に認められない可能性がある。だが、中国と韓国双方から指定を受ける医療機関はマニラに1カ所しかないという。

 「その中韓双方が指定する医療機関で受検できない場合、中国向け、韓国向けにマニラ内でそれぞれ別の医療機関で受検しなくてはならない。しかも『乗船の72時間前まで』など、有効な検査の時間も指定されている。限れた時間の中で複数箇所を回るのは負担が大きい」同関係者はこう窮状を訴える。

 その上で、「寄港国によって有効な検査機関が異なるのは、各国が独自に指定していることが原因だ」とし、IMOなどの国際団体が取りまとめ役を務める必要性を強調する。