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 印刷 2020年10月19日デイリー版2面

商船三井、O&Mまで一気通貫、海洋技術部を新設。川越専務「技術面など目利きを」

川越美一専務執行役員
川越美一専務執行役員

 商船三井は海洋事業の強化を図るため、1日付で「海洋技術部」を新設した。プロジェクトの仕込みからO&M(運用および保守点検)までを一気通貫で対応する。統括する川越美一専務執行役員=写真=は「新規分野に取り組む際には外部のエンジニアリング会社などにアウトソーシングすることが多い。そうした際のテクニカル面、法律面、お金(費用)の妥当性などについての目利きを期待したい」と語る。

 海洋事業はテクノロジードリブン(技術主導型)な分野。技術やビジネスモデルの進化が目覚ましい。川越専務は「経営計画『ローリングプラン2020』の核になる」とし、経営戦略上の重要性を強調する。

 海洋技術部はFSRU(浮体式LNG〈液化天然ガス〉貯蔵・再ガス化設備)プロジェクトチームと、FSRU以外の海洋全般を担当するオフショアプロジェクトチームの2チーム、総勢26人で構成する。両チームとも担当するプロジェクトについて、仕込みからO&Mまで対応。「ゆりかごから墓場まで一気通貫で取り組む」(川越専務)

 また、海洋技術部には新規分野で必要となるアウトソーシングに関する目利き、マネジメントに加え、海洋関連のステークホルダー(利害関係者)に多い技術力と営業力を兼ね備えたハイブリッドな人材への対応力なども期待されている。

 さらに、海洋関連の各営業部と融合し、社内のハイブリッド人材の育成も視野に入れる。川越専務は「営業も技術ドリブンな提案を行い、(関係者に)腹落ち感があって前に進む、という海運の営業とは違うスタイルの営業が求められる」と海洋事業でのハイブリッド人材の必要性を訴える。

 商船三井の技術スタッフは現時点で、キャリア採用15人を含め計70人弱。海洋技術部の新設には、こうした技術スタッフらへのキャリアプランの提示・見える化という側面もある。

 川越専務は「キャリア採用の人に当社へのロイヤリティーを持って一緒に仕事をしてもらい、交わることで会社の実力が付く。良い人材、パートナーに来てもらうためにも旗印として海洋技術部が必要になる」と語る。

 海洋技術部長は山口誠技術部長が兼任する。山口氏について、川越専務は「FSRUの経験がある。英ロンドンへの駐在や中国の現場でのプロジェクトマネジャーも担当した。商船を主とする組織の中では新しく、突出した方向で経験を積んでおり、頼りにしている」と評する。

 海洋技術部で開拓する具体的なターゲットについて川越氏は、FSRUを核とするLNG受け入れターミナル事業を挙げる。「特に新興国向けの案件に注目している。ただ、(装置などをすぐに稼働できる状態で納品する)ターンキー契約となることが多いので、同事業全体に参画する必要がある」と指摘する。

 そのほかのターゲットとして、LNG発電船事業の業容拡大、洋上風力発電関連のロジスティクス、CO2(二酸化炭素)回収・貯留(CCS)などCO2関連事業、FSRUの再ガス冷熱発電などを列挙した。