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 印刷 2020年10月13日デイリー版2面

四半期決算を読む】(3)日本郵船、ドライ収益安定化へ構造改革

表・グラフ

 日本郵船の2020年4―6月期の連結経常利益は、前年同期比2・6倍の165億円と大幅増益を達成した。不定期専用船部門を中心にコロナ禍の影響を受けたが、コンテナ船事業や航空運送事業を含む一般貨物輸送部門の好業績がマイナス影響を打ち消した。

 丸山徹執行役員は4―6月期決算を振り返り、「セグメントごとにまだら模様ではあったものの、コンテナ船や航空運送を含む一般貨物輸送がけん引した」と総括した。

■不定期船は苦戦

 一般貨物輸送部門の経常損益は、前年同期の25億円の赤字から188億円の黒字へと大きく改善した。同部門の中でも航空運送が最大のけん引役で、93億円の黒字(前年同期は44億円の赤字)を確保。コンテナ船の利益も3・5倍の67億円に膨らんだ。

 航空運送はコロナ禍により国際旅客便が激減し供給が絞られたため、需給が逼迫(ひっぱく)し、運賃が上昇。物流事業にもその影響が波及し、航空フォワーディングの粗利益が改善して27億円の黒字(前年同期は収支均衡)に改善した。

 コンテナ船は、持ち分法適用会社オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)の業績が改善。積み高は減少したものの、機動的な配船調整などが奏功し、想定を上回る利益を計上した。

 航空運送事業は、コロナ禍以前は採算悪化が続いていた。そのため、郵船は同事業の位置付けを経営課題の一つと見なしてきた。丸山氏は「足元では特殊要因で収益が良くなっているが、基本的な問題意識は変わらない」と説明した。

 一方、不定期専用船部門の経常損益は11億円の赤字に悪化した。前年同期は92億円の黒字だった。ドライバルク船の市況が低迷したほか、自動車船はコロナ禍で自動車販売市場が落ち込んだ影響が大きかった。

 4―6月期平均のケープサイズ市況は前年同期比16%安の9598ドルにとどまり、同船型の採算分岐点の半値以下に沈んだ。パナマックス以下の中小型バルカーの市況も平均コストを大きく割り込んだ。

 ドライ船事業の収益安定化に向け、郵船は構造改革を進める。第1四半期(4―6月期)にハンディサイズ・ハンディマックスの減損処理をしたのに続き、ケープサイズ6隻前後の早期返船を行うことを決めた。早期返船などの費用として、第2四半期(7―9月期)に約180億円の特別損失を計上する。

 自動車船の輸送台数は35%減の52万台だった。自動車メーカーが大掛かりな生産・出荷調整を実施したためだ。「35%減は航海完了基準ベースで、積み切り基準では約5割減だった」(丸山氏)という。第2四半期以降は緩やかな回復を見込む。

 原油タンカーやVLGC(大型LPG〈液化石油ガス〉船)、LNG(液化天然ガス)船などのエネルギー輸送は安定利益を確保した。

■船員交代 追加20億円

 7月以降もコンテナ船のスポット運賃は好調を維持している。航空貨物運賃も想定を上回る水準で推移している。そのため、郵船は9月下旬に、4―9月期(上期)の連結経常利益予想を440億円に上方修正した。8月5日の発表では120億円を予想していた。

 第2四半期末の配当は見送る予定だったが、上方修正を受けて1株20円の配当を実施することも決めた。

 通期の業績予想も修正する予定だが、「現在精査中」で、11月5日の4―9月期決算発表時に公表する。8月初旬の発表では、通期経常利益予想は200億円だった。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、各国政府が導入した入国・移動制限により、船員交代が難航している影響も一定程度受ける。

 郵船は第2四半期以降に、船員交代関連で約20億円の追加費用が発生すると見込んでいる。航空便のチャーター料やPCR検査の受診料のほか、船員供給国に寄港して交代する際の運航費用の増加などがコストアップ要因になる。

 6月末時点の自己資本は4655億円と3月末時点から約29億円増加。有利子負債は1兆367億円と3月末から約130億円減少した。経営の健全性を示す指標とされる自己資本比率は24・7%へ0・8ポイント上昇した。

(おわり)