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 印刷 2020年10月08日デイリー版2面

国交省、運輸安全シンポジウム。栗林商船が災害時のマルチモーダル提言

運輸安全シンポで栗林商船が災害時踏まえ海運モーダルシフトを提言
運輸安全シンポで栗林商船が災害時踏まえ海運モーダルシフトを提言

 国土交通省は6日、東京都内で自然災害時の事業継続をテーマに「運輸事業の安全に関するシンポジウム2020」を開いた。栗林商船の栗林広行取締役第一営業部長は講演で「(RORO船などの)海上輸送は陸上輸送に比べ災害の影響を受けにくく、物流のBCP(事業継続計画)の観点で有力な選択肢となる」と強調。災害時も荷主がサプライチェーンを維持できるよう、平時から海上、トラック、鉄道の各輸送手段を併用するマルチモーダル体制を提案していると紹介した。

 栗林氏はモーダルシフトの現状について「環境問題の観点でトラック輸送から、CO2(二酸化炭素)排出量が少ない海上輸送や鉄道輸送にシフトをする考えが荷主に浸透してきた」と述べ、同社の航路では近年、東京―大阪・仙台、大阪―仙台といった本州間での利用も増えてきたと明らかにした。

 災害時の輸送については「2年前の西日本豪雨災害では鉄道復旧まで時間が掛かった。(代替輸送について)多くの顧客から問い合わせがあったが、船のスペースに限りがあり、平時から輸送オーダーをもらっている顧客を優先せざるを得なかった」と説明。その上で「平常時からリスクヘッジとして海上輸送を活用してもらうよう顧客に提案している」とした。

 また、同社の防災対策として、船内・陸上での安全会議の定期開催▽リスク対策、災害対応の規定策定▽船上での救助訓練▽社員の安否確認アプリ導入▽東京本社被災時の苫小牧(北海道)を拠点としたバックアップ体制構築―などを進めていると紹介した。

 新型コロナウイルスへの対応では対策マニュアル策定や、船員居住区と荷役作業員の活動エリアの区分け、船員に罹患(りかん)者が発生した場合は乗船チームの総取り替えを予定―といった策を取っていると説明。

 こうした自社業務の事業継続への取り組みと、顧客のビジネスを止めないための災害に強い物流サービス提供を組み合わせた2階建ての防災対策を講じているとした。

 同シンポは、2006年度に国の運輸安全マネジメント制度が導入以来、毎年開催している。今回は、栗林商船を含む運輸事業者4者による災害対応に関する取り組み紹介のほか、運輸安全マネジメント優良事業者らへの表彰、国交省による報告、名古屋工業大大学院の渡辺研司教授の基調講演、栗林氏、渡辺氏も交えたパネルディスカッションが行われた。