MariTech Webinar Japan 2020 <日英同時配信>
 印刷 2020年09月28日デイリー版1面

郵船・JMU、実海域性能保証を導入。日本初、建造契約に条項

 日本郵船とジャパンマリンユナイテッド(JMU)は25日、新造船の建造契約に、実海域での推進性能を保証する条項を導入することに基本合意したと発表した。造船契約では、平穏な海象下で保証速力を定義するのが一般的。だが、竣工後の実航海では荒天も多く、実際の海象下で推進性能の良い船舶を見極め、調達することが海運会社の課題だった。こうした中、一層の差別化を実海域性能に求める郵船と、それを差別化の源泉としたいJMUの意向が一致した。同条項を盛り込むのは国内初とみられる。

 これまでの造船契約では、波風のない海象下で船速と馬力の関係から保証速力を定義し、建造中に行われる海上試運転でその相互確認を行うのが一般的だった。

 一方、実航海では平穏な航海はまれであるため、海運会社にとっては普段遭遇する実際の海象下の推進性能が重要。JMUはこの実海域性能に焦点を当て、長年にわたって性能向上に向けた技術開発を進めてきた。

 海上での衛星通信の改善、IoT(モノのインターネット)技術の進展に伴い、さまざまな運航データを効率良く収集することが可能となった。

 海運・造船業界の国際競争が厳しくなる中、実海域性能にフォーカスする郵船とJMUの意向が一致。今回の実海域性能保証条項の導入に至った。同性能保証には今後、船種にかかわらず共同で取り組む。

 両社は新造船の竣工後、必要データを一定期間収集し、相互に検証した上で保証値の達成度を確認する計画だ。

 郵船とJMUは2016年2月、大型コンテナ船に関するビッグデータ活用の共同研究を開始するなど、複数の研究開発案件を共同で推進してきた。この中で収集したデータの処理、蓄積、解析手法などに対する共通理解に加え、得られた知見を次の新造船へフィードバックする関係性が、今回の実海域性能保証という技術難度の高い案件を推進する基盤となった。

 今後は、建造時の海上試運転では検証が困難な船型の推進性能検証などへの展開を予定する。船舶の実海域性能のさらなる改善は「海運業界のGHG(温室効果ガス)の実質排出量削減に貢献」(JMU)し、荷主も含めた「サプライチェーン全体での環境対応の向上にも寄与」(郵船)するとしている。