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 印刷 2020年09月25日デイリー版3面

国交省、第3回物流大綱検討会、デジタル物流人材など意見交換

 国土交通、経済産業、農林水産の各省は17日、東京都内で次期総合物流施策大綱を検討する第3回有識者会議を開いた。花王、日立物流、井本商運など7者によるプレゼンテーションが実施されたほか、物流産業を科学的・抜本的に再構築できる「デジタル物流人材」の育成について、活発な意見交換が交わされた。

 経済同友会の山内雅喜委員長(ヤマトホールディングス取締役会長)はデジタル物流人材について、物流各社が競争を行う前段階に当たる大学教育の場を活用し、産官学が積極的に関与していく必要があると訴えた。

 日立物流の佐藤清輝執行役専務は「物流企業はほとんどが非定常業務であり、これを支えているのは人材。物流自体が高度化している中でデジタル人材は重要な課題」との認識を示した。同社では、社内で現場経験のある従業員をデジタルトランスフォーメーション(DX)部隊に集め、養成講座や他社・グループ内で交流を図ることで人材育成を実践しているという。

 また有識者からは、「物流人材は最適解を科学的に求めるOR(オペレーションズ・リサーチ)人材と現場の作業者と手分けして育てる必要がある。物流を大学で学んだ人や社会人になってから携わった人など、採用する企業側が幅広い層を獲得することで、結果としてさまざまな分野の人材が総合的に物流に携わるのが良い」とする意見も出た。

■民間3社、DXなどで提言

 プレゼンでは、花王SCM部門ロジスティクスセンターの山下太センター長がデジタル化による業務標準化の推進に向けて、伝票レス化や事前出荷データ(ASN)活用によるフレキシブルな納品条件など商慣習の見直しを提起。「デジタルプラットフォーム(PF)の実現には多くの企業の参画が必要。デジタル化投資の障壁が低くなる制度・仕組みづくりが重要」と述べた。

 日立物流の佐藤執行役専務は物流の自動化・機械化の加速には、業種業界をまたいだ荷役機器・箱サイズなどの標準化や対面・紙・はんこの排除など高度なデジタルシステムへ対応した規制の検討、さらに中小企業を中心としたDXの普及促進に資する財政支援が必要とし、業界全体のデジタル化推進を後押しする補助事業の設置・継続を提言した。

 環境整備については、井本商運の井本隆之社長がマースクとIBMが共同開発した貿易PF「トレードレンズ」を例に挙げ、外航船社からのブッキングをAPIを通じて行えるようになったと説明。その中で「海上では大容量のデータ通信ができない。今後4G、5G(第4、5世代移動通信)に移行していくと、内航船とのデータ連携は大変困難になる。沿海区域に電波が飛ぶ仕組みをお願いしたい」と訴えた。