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 印刷 2020年09月17日デイリー版3面

貿易システムのバイナル、東南アジアで販売強化、業務効率化を支援

 貿易・通関業務システム大手バイナル(名古屋市)は、東南アジア地域でのシステム販売を強化している。2019年3月に、シンガポール現地法人バイナルアジア・パシフィック(APAC)を設立。既に日系商社現地法人など複数社への導入により、貿易業務の効率化を支援している。さらに現地政府系通関情報システム企業と、日系システム企業として初の業務提携を締結。バイナル顧客はHSコード(輸出入品目統計番号)の確定に、同社の通関ビッグデータを活用できるようになった。

 バイナルは輸出入・通関業務システムTOSSシリーズを中心に、商社・製造業などの荷主、物流業者にシステム販売を行ってきた。TOSSシリーズには、通関・物流業者向けの輸出入・通関業務管理を支援するTOSSロジポート、船積み書類作成を自動化・効率化するTOSSオートインボイス(AI)、輸送工程・取引の可視化ツールTOSSロジワークスなどがある。

 バイナルAPACは既存顧客の海外法人との窓口だけでなく、東南アジアでの直接販売も狙う。

 シンガポールの導入事例では、日系商社現地法人が基幹業務システム(ERP)と船積み書類作成システムの連携を支援した。

 顧客企業の船積み書類作成は当初、スプレッドシートベースで行われており、ERPとの情報連携が難しかった。バイナルはTOSSオートインボイスによる書類作成の効率化・標準化を提案。また、TOSSで作成された書類データからシンガポール税関システムに連携が可能となり、全ての取引進捗(しんちょく)はTOSSロジワークスで可視化することを実現。これによりERPとのデータ連携が容易になり、顧客企業は貿易関連情報を一括して管理することが可能になったという。

■通関ビッグデータ活用

 バイナルAPACは先ごろ、シンガポール政府系の貿易プラットフォーム(PF)企業GeTSと、通関情報システムの蓄積データを活用する業務提携を締結した。GeTSのグループ企業であるクリムゾンロジック社が運用する通関システム「トレードネット」が世界各国の税関当局などと連携して蓄積したHSコードのビッグデータを活用し、商品名を入力するだけでAI(人工知能)の技術により該当するHSコードが検索可能となる「Fuzzy search」機能をTOSSシステムに実装した。

 また、TOSSとGeTSシステムを連携させることで、利用者は関連する自由貿易協定などの情報も確認が容易になる。

 輸入国税関当局との解釈の違いなどで、通関に支障が出ることもあり、適切なHSコードの確定は円滑な貿易業務遂行に重要な意味を持つ。バイナルAPACの青山慎司社長は「日本などでは輸入通関時に通関士がHSコードを決めるなど、属人的な要素もある。国によって品目がどのHSコードに属するか解釈の違いもある。GeTSとの提携で、通関ビッグデータを活用できるため、適切なHSコードを事前に確定することが可能となり、輸入通関時の業務が効率化できる」と、GeTSとの提携効果を説明する。

 シンガポール法人設立時は、同法人を起点に、日系製造業が多数進出するタイ、ベトナムなど、東南アジア各国への出張訪問を狙っていたが、現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響で移動が難しい状況。一方、在宅勤務の増加など、業務のデジタル化ニーズは以前にも増して高まっている。バイナルでは今後、GeTSと共催でウェビナーを複数回実施。日系企業だけでなく、東南アジアの地場企業にも積極的にアプローチしていくという。

■中小FWのニーズ拡大

 バイナル顧客は化学品、食品、自動車関連などの製造業や商社など自ら貿易を行う荷主企業が過半を占めるが、昨今はフォワーダーなど物流業者からの受託も増えているという。特に中堅規模以下の物流業者にとっては、情報システムを自社で開発するのはコスト負担が重く、外注ニーズが増えているようだ。

 バイナルの岡本純芳専務取締役は「貿易関連システムに特化し、長年愚直に取り組んできた点を評価いただいている」と語る。大手システムインテグレーターと異なり、貿易業務に精通したスタッフによる開発、販売、導入支援と一貫して対応できるのがバイナルの強み。国内だけでなく、中国にも開発拠点を置き、有事に備えたBCP(事業継続計画)も万全の体制を取る。