船員支援キャンペーン
 印刷 2020年09月10日デイリー版4面

記者の視点/鈴木隆史】コロナ禍、船員交代2巡目に。重要性増す「支援」と「信頼」

 「2巡目に入らざるを得ない」

 船舶管理関係者は高まる船員の交代需要への対応方針についてこう語る。

 2巡目とは、新型コロナウイルスの感染拡大が表面化し船員交代が停滞し始めた以降に下船した船員が、休暇を経て再度交代に向かうことを指す。

 足元で新たに乗り組む船員の中には、既にコロナが本格化していた5、6月ごろに下船した者が含まれ始めている。直近の1巡目の時に、船員交代が難航していたのをじかに体験した船員や、実際に長期乗船を余儀なくされた者も含まれている可能性がある。

 新型コロナの収束の兆しは見られず、当面船員交代は難航するとみられる。

 船員の出国前のPCR検査、フライト(航空機による移動)の手配、交代地での検疫、本船までの移動―といった船員交代を構成するさまざまな要素が、日々一進一退を繰り返している。

 「船員交代を取り巻く点と線と点について最適な組み合わせを模索し、何とか交代している」(邦船関係者)

 そうした中、いったん下船した後、再び乗り組む船員には、ただただ敬服するばかりだ。長期乗船となる可能性は十分あり得る。

 配乗を手掛ける船舶管理会社や船主には、船員はもちろん、その家族らに対してもきめ細やかなケアが求められるだろう。

 2巡目となる交代を迎えることについて、船舶管理関係者は「このような厳しい時こそ、会社と船員との間での信頼関係、ロイヤリティー(忠誠心)が問われる」と強調する。

 こうした船員、海運業界の窮状は徐々に海運業界以外でも知られ始めている。

 邦船関係者によると、海外の一部の荷主は、船員の置かれた厳しい環境に理解を示し、船員交代のために船舶をデビエーション(航路離脱)させることを快諾するだけでなく、船員らへの寄付を申し出る動きがあるという。

 「ある荷主は今後もカーゴ(貨物)を輸送する度に、ブローカーと共に、一定の金額を船員に寄付したいと申し出てくれた。船員が社会を支えるエッセンシャルワーカーであることが理解されている証左だ」(邦船関係者)

 こうした寄付は、過酷な環境に身を置き続ける船員への励みとなるはずだ。

 当社も微力ながら、海運業界専門紙として、船員への複数の支援を実施している。そのうちの一つが、英国発祥の船員支援の慈善団体ミッション・ツー・シーフェアラーズ(MTS)の活動をサポートするボランティアと寄付金を特設サイト内で集うというものだ。

 MTSは50カ国・200港にグローバルネットワークを展開。日本では苫小牧(北海道)、横浜、神戸に拠点を設け、それぞれの港に寄港した船員に対し、物心両面のサポートを提供している。

 コロナ禍で船員がエッセンシャルワーカーと認識されている今、その船員を支えるMTSの取り組みの重要性も増しているといえる。

 「このままでは、春先には船員交代は3巡目に入る可能性がある」

 船舶管理関係者はこう危機感を示す。

 停滞する船員交代問題の解消が見えない中、船員支援団体を通じたサポートに関心を寄せていただければ幸いだ。詳細は特設サイト(https://www.jmd.co.jp/seafarers/)をご覧いただきたい。