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 印刷 2020年09月08日デイリー版1面

MariTech 海事未来図】シェル、デジタルツイン導入。FPSO、世界最大構造物

デジタルツインが導入されたFPSO(アクセロスHPから)
デジタルツインが導入されたFPSO(アクセロスHPから)

 スイスのエンジニアリング会社アクセロスは1日、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルがナイジェリア沖で操業するボンガ油田のメインFPSO(浮体式石油・ガス生産・貯蔵・積み出し設備)へデジタルツイン(仮想空間に再現した複製)を導入することに成功したと発表した。同船は1日当たり22万5000バレルの原油生産能力を持っており、デジタルツインが適用された世界最大の構造物になる。

 デジタルツインとは、現実世界に存在する機器や設備などを、センサーやカメラを通じて自動的にさまざまなデータを取得し、サイバー空間上に現実世界と同じ構造と状況を再構築したもの。

 アクセロスは、FPSOを運用するシェルのナイジェリア現地子会社を通じてデジタルツイン技術の導入を受注。同技術を用いて優先的に点検、保守、修理すべき重要エリアの識別、FPSOに乗船する人員の削減、カーゴタンクのような届きにくい場所での物理的点検の必要性の低減、極端な気象事象や資産変更に対するシナリオ計画のサポートなどを請け負っている。

 ほぼリアルタイムで行われるシミュレーション技術を取り入れることによって、従来のシミュレーションソフトウエアによる過度に保守的な見積もりを、実際に稼働している機器の状況を反映した正確な評価に置き換えることで、メンテナンス効率の向上と機器の寿命の延長を可能にするという。

 デジタルツイン技術のFPSOへの導入は、日本企業では三井海洋開発(MODEC)が進めている。同社は各船に1万個以上のセンサーを設置し、予知保全のための高度分析、トップサイド(原油・ガス生産設備)のデジタルツイン、新しいアルゴリズムの開発と展開を加速するための独自のデータプラットフォームを活用して生産性を向上させている。

 また、同技術は通常の船舶でも採用できることから今年2月には、商船三井と海上技術安全研究所が、主機の運転状態の見える化を推進し、運転状態や劣化状況を高い精度で把握する「主機のデジタルツインモデルに関する共同研究」で合意し、契約を結んでいる。