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 印刷 2020年09月04日デイリー版2面

海運業界初のアイデアソン、フラットに活発な議論。郵船・石澤氏「明るく試行錯誤を」

「海事DATA/AIアイデアソン」の模様
「海事DATA/AIアイデアソン」の模様

 社会課題の解決や新規ビジネス創出に向けてグループ単位でアイデアを議論し合う「アイデアソン」の海事産業版「海事DATA/AIアイデアソン」が1、2の両日、開かれた。主催はシップデータセンター(ShipDC)で、日本の海事分野のアイデアソン開催は初の試み。参加者は、ShipDCが推進する船舶情報プラットフォーム(PF)「IoS―OP」のコンソーシアム参加企業に所属するが、企業名・役職などを伏せてオープンでフラットな議論を行った。

 東京と大阪の2会場で、29人の参加者が5チームに分かれてアイデアを出し合った。

 各チームの最終発表を前に、日本郵船の石澤直孝NYKデジタルアカデミー学長が講演。

 デザイン思考を発信する米スタンフォード大学dスクールが実施したシリコンバレーでの新規ビジネスに関する調査を引用し、「約4000の案件のうち、傑出した成果を出せたのは2―3件。人間の能力に大きな差はなく、これが歩留まりだ。重要なのは正しく、高速で試行錯誤すること。(芽が出ず)心がくじけることもあるだろうが、そのままでは老舗企業は凋落(ちょうらく)する。試行錯誤を楽しく続けることがイノベーションの鍵だ」と参加者を鼓舞した。

 各チームの発表後、審査委員(委員長=川越美一・商船三井専務執行役員)による審査・講評があり、川越委員長は「過去5―10年、海運業界でもデジタル化への取り組みは大なり小なり行われてきたが必ずしも定着していない。取り組みには勇気がいる。各企業に、(議論で得た)エネルギーを持って帰ってほしい。継続的に取り組むことが大事だ」と呼び掛けた。

 各チームがまとめたアイデア・サービス名は、 1.日常の報連相(報告・連絡・相談)を効率化する「瞬間ダイジェスト」 2.ライフログから死亡リスクスコアなどを分析し人生計画作成の自由度を向上する「myシェイクスピア」 3.企業の意思決定において少数意見が反映されないなどの不満を解消する「行動心理分析型意思決定補助システム」 4.社会インフラとデータを連携させることで災害時に被災者が抱える食事ストレスを解決する「Luxury & Health Eat」 5.物流一括管理などにより畜産農家の模造品による存在を解決する「HONMAMON」。