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2020年09月02日 デイリー版2面
郵船・石澤氏、「伝票技術の標準化が鍵」。物流IoT、ShipDCイベントで講演
日本郵船のデジタル人材育成を担うNYKデジタルアカデミーの石澤直孝学長が1日、シップデータセンター(ShipDC)主催のイベント「海事DATA/AIアイデアソン」の東京会場で講演し、IoT(モノのインターネット)による物流変革について「モノとコンピューターを自動的につなぐ伝票技術(バーコード、RFID〈無線タグ〉、センサーなどの自動認識技術や情報識別子)の標準化、異なる業界同士の相互運用化をいかに実現するかが鍵になる」と語った。
石澤氏は「将来的にはさまざまなモノが、モノ同士でつながり動いていく完全なIoTの時代がやってくる。生産現場や高度に企業が管理している領域からどんどん外に広がっていく」と予測。一方で、足元の課題として「インターフェースである伝票技術がネックとなっており、ここがもっとスマートになるには、もう少し時間がかかる」と指摘した。
さらに石澤氏は世界経済の今後の変化として、アフリカやインドの成長による経済力の多様化、高齢化と労働人口の移動、都市化の加速を列挙。こうした要素を踏まえ、デジタル技術では「データ分析」「現場作業のアシスト」「人的資源のアシスト」の3領域で「さまざまな新しいアイデアが加速度的に現実のものになっていく」と予想した。
「海事DATA/AIアイデアソン」は、海事産業のデータ共有基盤「IoS(船のインターネット)オープンプラットフォーム」(IoS―OP)を運営するShipDCが1―2日の2日間にわたり開催。東京と大阪の2会場をオンラインでつなぎ、IoS―OPに参加する海運、造船、舶用企業などから中堅社員30人が集まり、海事データやAI(人工知能)を活用した新たなビジネスのアイデア創出を目指して集中的に議論する。