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 印刷 2020年08月19日デイリー版2面

内航船、「外国人船員の議論必要」。海事振興連盟勉強会、森教授が講演

講演する流通科学大の森隆行教授
講演する流通科学大の森隆行教授

 流通科学大の森隆行教授は17日夕、東京都内で開かれた海事振興連盟の「年齢制限のない若手勉強会」で、「外国人労働者『船員内航船への導入問題』(日本社会への影響)」をテーマに講演した。森氏は「船員不足が内航海運の最大の課題」と指摘し、「日本人船員確保・育成は当然必要。一方で内航海運への外国人船員導入を求める主張ではないが、カボタージュ規制(国内海上輸送の自国籍船限定)を堅持した上で、外国人船員導入に関する議論の必要性はある」と述べた。

 森氏は「外国人船員を配乗させた場合は、受け入れ人数の枠組みを構築すべきだ」と主張。労使に政府が加わり、雇用や賃金を含めた労働条件について、きちんとした枠組みをつくることも前提とした。

 さらに「船員不足が特に深刻な一部中小船主の間で、外国人船員の導入を望む声が聞かれるようになってきて、非公式の場で外国人船員の問題が議論される場面も見られるようになった」と内航業界の現状を語った。

 日本の内航船で外国人船員の配乗が認められていない理由については、「カボタージュ規制によるものではなく、1966年の外国人労働の受け入れに関する閣議決定によるもの」と説明した。

 内航海運業界で外国人船員を受け入れられないとする理由にも言及。

 内航船の場合、外航船と違い外国人船員は日本に住むためコストは安くならない▽内航船員に英語でのコミュニケーションは困難▽瀬戸内海など複雑な海域の航行は外国人には難しく任せられない―といった点を紹介した。

 これに対し、「内航での外国人船員導入の話はコストの問題ではなく、外国人船員は必ずしも日本に居住するわけではない。船内のコミュニケーションも日本語で行うことを前提にすべきだ。日本人の経験の浅い船員でも複雑な海域の航行は難しいのでは」と発言した。

 外国人船員を内航海運に導入することによる日本社会への影響も考察。雇用・賃金面については、「供給が需要を上回らないように外国人船員雇用数をコントロールし、給料を含めた労働条件のルール作りを行うといった前提があれば、影響はない」と主張。治安・生活環境といった面でも大きな影響はないとした。

 同勉強会は海洋立国懇話会と共同で開催しているもので、今回は新型コロナウイルス感染予防対応として、人数を絞って行った。