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 印刷 2020年08月19日デイリー版1面

邦船社、船員交代で大幅迂回検討。中東-印のVLを星港へ。「荷主の理解得て航路離脱」

船員交代の需要は日増しに積み上がっている
船員交代の需要は日増しに積み上がっている

 新型コロナウイルスの感染が広がる中、一部の邦船社が通常の航路から大幅に迂回(うかい)、デビエーション(航路離脱)させて交代する手法を検討している。対象となるのは、中東-インド間の短距離航路を往来するVLCC(大型原油タンカー)などで、通常の航路からは大きくそれ、シンガポールにまで航路離脱するケースを視野に入れている。海運関係者は「長期乗船者が増え、交代場所が確保できない場合、荷主の理解を得て航路を大きく離脱し、交代する可能性もある」と語る。

 今回、一部船社が検討しているのは、中東-インド間の原油輸送に従事するVLCCなどで、インド人以外の船員の交代について、通常の航路から大きくそれシンガポールで実施するというものだ。

 インド人船員であれば、インドで下船し、船員の帰還がスムーズにいく。だが、それ以外の国籍の場合、インドで下船してもそれ以降のフライトの確保など国外移動が難航し、帰還に時間を要する。そこで交代地としてメジャーなシンガポールに向かい、いったん下船させる方策を取るようだ。

 ただ、海運関係者は同手法の留意点として、「シンガポール政府から事前に求められる船員情報の提供の期限などで対応が厳しい面もある。また、最近になり中東フジャイラでも交代の規制が緩和され始めた」としており、シンガポールまでデビエーションさせるのはあくまで最終手段となるようだ。

 シンガポールへの迂回を伴う船員交代で発生する航路離脱の期間は計約20日間に上る。

 同関係者は「揚げ地のインド(シッカ)からシンガポールまで迂回し、船員交代を済ませ、その後積み地の中東に戻るまでに要する期間と、シンガポール周辺での待機で計20日は余分にかかる」と見通す。

 市場関係者によると、中東-インドは片道約3日の短距離航路。

 感染拡大以降、航路離脱し船員供給国で船員交代を図る手法は既に確認されている。だが、航路離脱には燃料代など追加コストがかかるため、影響を最小化する観点から、積み地と揚げ地の間の第三国を交代地とすることが多い。今回、表面化しているのは通常の航路から大幅に逸脱するというもので、海運会社にはコスト負担が大きい。

 新型コロナの収束の兆しが見えず、船員の交代需要が積み上がる中で、海運会社はさまざまな船員交代の手法を模索している。