印刷 2020年08月13日デイリー版2面

旭海運、船体汚損防止の機器開発へ。東海大・金子客員教授と契約

21年度に「旭丸」で実証実験を行う
21年度に「旭丸」で実証実験を行う

 神戸製鋼所のインダストリアルキャリアである旭海運が、船体汚損防止のための機器の開発に着手する。同社はこのほど、船舶の運航管理に精通した金子仁氏(現東海大学海洋学部客員教授、元同学部教授)とアドバイザー契約を結んだ。金子氏のアイデアを基に2020年度中に基本構想をまとめ、21年度に実船で実証試験を行う計画。船体への海洋生物の付着を防止し、海洋生態系の保護に貢献していく方針だ。

 環境保全意識の高まりを受けて、バラスト水に含まれる海洋生物だけでなく、船体に付着した生物の越境移動も問題になっている。

 ニュージーランドはすでに船体汚損に関する規制を導入。海運関係者によると、今年に入り同国で船体汚損を理由に当局に寄港を拒否される事例もあったという。

 IMO(国際海事機関)でも船体汚損に関する新たなルールを策定する動きがある。

 それら将来的な規制強化もにらみ、旭海運と金子氏は船体に海洋生物を付着させないための方策を検討。協力して実用化を目指すことで合意した。

 「EU(欧州連合)や豪州、米国などではすでに、船体に付着した生物を除去するロボットなど新たな技術を開発していると聞く。弊社が考える技術は遮蔽(しゃへい)して防ぐ」(旭海運の竹之下登副社長)が基本的なコンセプトになる。外航船にも内航船にも装備できる簡易でフレキシブルな仕組みを想定している。

 21年度に試作機を製作し、旭海運のフラッグシップである8万5000重量トン級バルカー「旭丸」に搭載し実証実験を実施。効果を検証する。

 実船の航海で導入効果が確認できれば、旭海運が運航する船舶に装備するだけでなく、他社への外販も視野に入れる。

 海洋生物の付着による船底の汚損を防止できれば、生物の越境移動を防ぐことができるほか、燃費効率改善によるCO2(二酸化炭素)排出削減も見込まれる。

 また、付着物の除去など船体の洗浄作業に関わる負担も軽減できる。さらに、塗料の種類や塗料の塗り方が変わり、コスト低減につながる可能性もある。

 竹之下副社長は「ユーザー目線に立ち、地味だけれど役に立つ実用的な装置を開発できれば」と語る。

 旭海運は今年4月に新中期経営計画「あさひいちがん」をスタート。その中でESG(環境・社会・企業統治)にも注力する方針を打ち出した。船体汚損防止装置の開発もその一環で、今後も同社ならではの環境保全や地域貢献の取り組みを実施していく方針だ。