印刷 2020年08月11日デイリー版2面

MariTech 海事未来図】自動運航船、港湾連携も視野に。国際枠組み、シンガポール思惑

日本を含む8カ国が参加したオンライン会議で「MASSPorts」の立ち上げが決まった
日本を含む8カ国が参加したオンライン会議で「MASSPorts」の立ち上げが決まった

 シンガポールが音頭を取り、日本を含む8カ国が自動運航船の実用化に向けた国際連携の枠組み「MASSPorts」を立ち上げた。シンガポールは近い将来、商業運航する自動運航船と連携した港の開発に着手したいとの思惑が見え隠れする。

 特に着目したいのが今回のメンバーだ。呼び掛け国であるシンガポールは、港などを所管する海事港湾庁(MPA)が取りまとめ役を務める。

 同国は国際的な枠組みへの参加呼び掛けに際して、自動運航船の開発を進めている各国の機関を意図的に選んだようだ。韓国は海洋水産部、中国は海事局、ノルウェーは海事庁、フィンランドは交通技術省。

 特にフィンランドは、世界初の完全自律運航フェリーを実現し、デモ航海では着岸も含めて乗組員による人的な介入を伴わなかった。そして、港の開発も見込み、欧州最大の港である蘭ロッテムダム港も取り込んだ。

 日本は他の国とは異なり、自動運航船に携わる国土交通省の海事局と港を所管する港湾局、海上交通や通信を所管する海上保安庁の3機関が参加している。

 このメンバーを見ると、シンガポールは日本の動きに注目していることがうかがえる。

 4日のオンライン会議では、国交省の斎藤英明大臣官房技術審議官が2025年までに自動運航船を実現させると説明した。

 シンガポールのMPA長官は日本の取り組みについて、詳しく質問していたという。韓国も日本と同様、25年の実現を目指している。

 今回の国際的な枠組みでは、IMO(国際海事機関)の自動運航船の実証実験に関する暫定指針を骨子に、新たなガイドラインの策定に着手するようだ。各国は沖合での実証実験に取り組んでいるが、港湾間の実証実験は進んでいない。今後はこうした実証実験を実施するためにも、通信方法の共通化などを検討していく。ここで取りまとめた事項はIMOに提案する見込み。

 日本政府関係者は「シンガポールは自国の港の開発を視野に入れているようだ。日本もこの枠組みに参加することで、さまざまな知見を習得し、自動運航船の実現に生かしたい」と語る。

 今後は事務レベルでのワーキングチームを開催し、スケジュールなどを調整して本格的な検討に入る。