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 印刷 2020年08月11日デイリー版5面

ニュース深読み/不定期】米の制裁リスク注視、ギリシャ・中国勢が買船意欲

 デスク ドライ市況が底堅く推移しているな。

 A 足元の主要航路平均はケープサイズが2万ドル前後、カムサマックスが1万2000ドル、スープラマックスが1万ドル弱という水準。7月上旬のケープサイズ3万ドル超相場からは落ち着いたものの、年前半の1万ドル以下の低迷に比べると、大きく改善しています。

 B ドライ市況改善を受け、中古船市場ではキャッシュが潤沢なギリシャ船主などからの引き合いが増えているようですね。コロナ禍で検船や船員交代が難しいため成約数は限られるものの、用船市況の回復で売り手と買い手のギャップが詰まりつつある格好です。

 C 邦船社がコロナ禍に対応した減船を進めているため、これから返船された船主が売船に動くケースも増えそうです。一部では、売却前の事前検船のニーズが高まっているとか。

 デスク 7月中旬には船主大手の日伸海運が2015―16年竣工のカムサマックス3隻を売却したな。

 A 購入者は中国の国家開発銀行のリース子会社CDBリーシング。両社は1月に売買に合意していましたが、船員の移動制限がネックとなり、船の引き渡しができない状態が続いていました。しかし、7月にフィリピンで一時的に入国制限緩和の兆しが出たことで、日伸海運は航空機3機をチャーターし、フィリピン人船員約60人をシンガポールからマニラまで送り届けることに成功しました。

 B その後、東南アジアでは再びコロナ感染が拡大し、足元は再び移動規制が厳格化されつつあるため、短い小康期間のチャンスを捉えたと言えます。

 C CDBリーシングは購入した3隻を香港船社BGシッピング(北港航運)に裸貸船するとみられます。BGシッピングは、中国・広西チワン族自治区の港湾運営会社「広西北部湾国際港務」グループのドライ船社。同グループはマレーシアやカンボジア、ブルネイなどアジア新興国で港湾投資を展開しており、中国政府の一帯一路の先兵といえる存在です。

 デスク コロナ禍のさなか、船隊整備できる海運会社は限られている。中国の国家戦略に裏打ちされた船舶投資というわけか。中国は経済活動も復調しつつあり、ギリシャ船主大手に加えて中国のリース大手や船社が有力なバイヤーとなりそうだな。

 A ただ、中国リスクとして、香港の国家安全維持法(国安法)を巡り、欧米との対立が深まっています。もし、米国が中国に対し、ドル調達制限を含めた金融制裁に踏み切ったら、中国船社や中国造船所へのインパクトは計り知れません。

 デスク 11月3日の米大統領選をにらんで、トランプ大統領が強硬路線を加速させる可能性もあるな。トランプ再選の行方も重要な鍵になる。