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 印刷 2020年08月11日デイリー版5面

ニュース深読み/不定期】マニラ寄港にも暗雲。船員交代地・供給国とも規制強化

 デスク 船員交代が再び停滞しているようだな。

 A はい。交代地ではシンガポール、香港が規制を強化しました。シンガポールでは交代のために入国した船員の中で、新型コロナウイルスの陽性反応が確認された事案が1週間のうちに3件発生したといい、同国海事港湾庁(MPA)が警戒を強めたようです。

 B MPAは、船員交代を認める船舶に優先順位を付ける方針を発表しました。シンガポール籍船などの交代を優先して認めるとしています。

 C ですが、邦船社の海務担当者は「実質的に自国籍船に限定する措置」と見ており、外国籍船は排除されると予想しています。

 デスク 仮に外国籍船が排除されれば、ボリュームが大きいだけに混乱は必至だ。香港はどうか。

 A 香港はこれまで荷役予定のない船舶でも一定の要件を満たす場合、船員交代のために入港することを認めていました。BIMCO(バルチック国際海運協議会)などの海運団体も香港の対応を歓迎する意向を表明していました。

 B 一方で、足元では世界的な感染の拡大を受け、荷役予定のない船舶の船員交代は認めない方針に転換しました。

 C 荷役予定のある船舶でも一定の要件が課されるようで、船主の使い勝手はかなり悪くなったようです。

 デスク 船員供給国側の動きは。

 A 最大船員供給国フィリピンは感染者が急増しています。1日当たりの新規感染者数も1000、2000人と段階的に増え、8月上旬にはついに5000人を超えました。

 B 感染爆発を受け、同国政府も対策に奔走しています。18日までマニラ首都圏などは一般的隔離措置(GCQ)の地域から、一段厳しい防疫措置を講じる修正広域隔離措置(MECQ)の地域に引き上げられることになりました。公共交通機関の利用が制限されます。

 C 国際空港のあるマニラで移動制限が続くので、引き続きフィリピン人船員を国外に手配することは難航しそうです。

 デスク だが、マニラへ直接寄港し、フィリピン人船員を交代することは可能だ。

 A 確かに豪州の7月からのポートステートコントロール(PSC、寄港国検査)強化も相まって、直接寄港は特に極東―豪州を航行するケープサイズで需要が高まっています。

 B ただ、フィリピンでの感染拡大で同国人船員の感染リスクは高まっています。中国も警戒し、マニラに直接寄港し船員交代した船について荷役を認めなかったとの海外報道もありました。

 C 荷主からもマニラに直接寄港することを見合わせるよう依頼を受けた船社もいるようです。

 デスク 交代地の規制が強まる中、同手法が封じられると、船員交代は一層滞る。引き続き、注視してほしい。