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 印刷 2020年08月07日デイリー版1面

三井E&S、目指す形は「バルチラ」か。玉野での建造、大幅縮小

 三井E&Sホールディングス(HD)は5日、2020年度中期経営計画(2020中計)を発表し、舶用エンジンなどを含む主力の機械・システム事業では、エンジンなどに電子制御部品、デジタルモジュールを搭載する「製品のパワーメカトロニクス化」を推進することとした。一方、造船事業は建造業務を縮小し、提携する他社への委託を拡大する。三井E&Sの今後の造船・舶用機器事業は、かつては造船も手掛けていたが、現在は舶用機器をベースとしたシステムインテグレーター(SI)となったバルチラ(本社・フィンランド)のような体制を目指す形となりそうだ。

 三井E&SHDは、旧三井造船が18年4月に持ち株会社制に移行し、造船など3事業を分社化した。これまでにエンジニアリング事業は他社へ売却、社会インフラ事業では他社による過半数出資を受け入れた。造船については艦艇事業を三菱重工への譲渡、商船では常石造船が一部出資する形で生き残りを目指す。事業の中心として100%子会社が担う機械システム事業と、50・1%出資する三井海洋開発(MODEC)主体の海洋事業が残る形となった。

 今後の造船事業について、三井E&SHDの岡良一社長は5日、テレフォンカンファレンスで、玉野艦船工場(岡山県玉野市)での商船建造を縮小する意向を明らかにした。足元の手持ち工事は手掛けるものの、それ以降の受注船については、中国の合弁工場や、提携している常石造船の工場への建造委託をメインとする考えを明らかにした。

 玉野艦船工場は、商船に関して引き渡しベースで手持ち工事を22年3月まで確保している。岡社長は、足元の受注残がなくなった以降の建造について、「(常石造船など)各社との協業などで今後どういう体制にしていくか検討していく」と語った。同中計では、造船事業について、ファブレス(工場を持たない)という言葉を利用。将来的に国内での建造をやめる可能性をにおわせている。

 三井E&Sは国内では、千葉工場(千葉県市原市)の建造事業を来年3月末で終了することを決めている。これにより商船を造る国内拠点は、玉野艦船工場のみとなる。玉野艦船工場では、艦艇事業も手掛けており、同事業については既に三菱重工業への譲渡に向けた協議を開始している。商船・艦艇事業に携わる同工場の従業員は、協力工を除き約850人。艦艇については、三菱重工に譲渡後も同工場で事業を継続する。