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 印刷 2020年07月17日デイリー版1面

物流スタートアップ、19年調達63億ドル。5年で17倍、中国企業4割投資

 世界的コンサル企業マッキンゼーはこのほど、ロジスティクス分野のスタートアップ企業に対する投資状況をまとめた。同調査によると、ロジ分野のスタートアップ企業の2019年資金調達額は約63億ドル(約6735億円)。18年比では37%減となったが、ロジ分野での投資が始まった14年比で17倍まで拡大したという。また、投資先として中国企業が投資額の40%を占め、アジア地域の存在感が目立った。

 調査対象としては、プライベートエクイティやコーポレートファンドなどが投資する以前の、120社強を対象とした。また、配車アプリのウーバーやゴジェックなど、ロジスティクスが主要事業でない場合は除外している。

 同調査は「ロジスティクス業界は複雑で利益率が低いことから、その他業界のように劇的なソリューションから距離を取り、破壊的なスタートアップの波から守られてきた」と解説する。ベンチャー投資市場全体の規模は、14年比で1-2倍で推移しており、ロジスティクスへの投資がようやく本格化したことが分かる。

 一方で、上場に至ったロジスティクススタートアップは、中国・杭州を拠点とする百世物流(ベストロジスティクス)の1社のみだという。同社は17年9月、ニューヨーク証券取引所でIPO(新規株式公開)を果たし、4億5000万ドルを調達した。

 19年の資金調達では、米デジタルフォワーダーのフレックスポートや中国・満封集団など、10億ドル級の大型資金調達が相次いだ。米食品配送アプリのヌロは昨年2月、ソフトバンクビジョンファンド率いる投資家から9億4000万ドルを調達している。この結果、トップ10企業が全体の調達額の46%、トップ20が66%を占める結果となった。

 地域・国別投資先としては、16年以来、中国が40-50%強を占めている。19年は米国が35%に対して、中国・インドを含むアジア太平洋地域が57%と、過半を占めた。

 中国で最大の資金調達を行ったのは、満封(Manbang)集団の19億ドル。同社はトラック版ウーバーとも言える配車アプリを提供し、ソフトバンクビジョンファンドが筆頭投資企業となったという。

 中国では特にEコマース(EC、電子商取引)が急成長しており、第一級都市と言われる主要都市では人口1人当たり年間70件の配送依頼が行われる。このため、配送効率化は国家的な課題となっており、スタートアップの活躍の余地が大きい。満封に対しては、中国政府系ファンドの中国国新基金も出資している。

 マッキンゼーはロジスティクス分野のスタートアップを4分野・11業態に分類。これまでの総資金調達額では、ラストマイル(最終配送)型が99億ドルと業態として最多を占めた。陸送マーケットプレース60億ドル、フルフィルメント(発注から配送までの一連の事業)など倉庫33億ドル、デジタルフォワーダーを含む海上・航空輸送16億ドル、3PL(物流一括受託)14億ドルと続く。

■デジタルFW「新常態に」

 17-23年の年平均成長率はラストマイル配送やパーセルなどのCEP分野が8-9%と、最大の伸び率を予想する。資産管理やブロックチェーンなどのテック分野は5-6%と、市場規模は小さいが高い伸び率が期待される。

 陸送、デジタルフォワーダーなどのトランスポート分野は2-4%と、規模は大きいが伸び率は低い。

 マッキンゼーは30年に向けた変化として、スタートアップのアセット保有や、既存企業のIT投資拡大など、相互の領域への進出が進み、eフォワーディング(デジタルフォワーディング)や、クラウドソース型デリバリーが「新常態」(ニューノーマル)となるとの見通しを示した。