船員支援キャンペーン第2弾
 印刷 2020年07月13日デイリー版2面

内航海運活性化セミナー、船員確保など講演。感染症対策報告も

船員問題や女性採用、感染症対策などの事例紹介があったセミナー
船員問題や女性採用、感染症対策などの事例紹介があったセミナー

 【関西】近畿運輸局と神戸運輸監理部は9日、大阪市内で「内航海運活性化セミナー」を開催した。当初予定の3月から延期して開かれたセミナーでは、船員確保など内航海運の情勢に関する講演や、女性船員の採用と育成、感染症対策などの事例報告があった。

 基調講演は、岡山大学大学院社会文化科学研究科の津守貴之教授が「景気後退局面における内航船員確保・育成のあり方と課題」の演題で話をした。

 津守氏は、景気後退が内航船員確保を相対的に容易にする一方、輸送需要縮小による船腹過剰の両面があると指摘。異業種から船員希望者が増える可能性は広がるが、受け入れ体制整備が必要とし、効率的な教育体制構築や船舶管理会社登録制度の利用を提案した。

 リーマン・ショック以降、内航の船腹量は総トン数で増加する一方、過去30年間の内航輸送量は減少傾向にあることを数値で例示した。背景として、製造業などの国際分業が進んだ構造的要因や少子高齢化を挙げた。

 七洋船舶管理の大橋了輔管理部長は「女性船員採用で会社は変わる」の演題で講演。兵機海運と傘下の船主の共同出資で設立された同社は、兵機海運グループの船舶管理業務を担う。船員34人のうち3人が女性だ。

 同社は18年4月に女性船員1人を採用、その後も2人を採用している。背景として、高齢化と船員不足、女性採用の問い合わせなどがあった。大橋氏は遅かれ早かれ女性採用は必須なら、早めに着手しようと会社が判断したことを説明した。

 採用に当たり社内外でヒアリングしたりアドバイスを求めたことや、採用後はまず訪船など陸勤を通じ既存の船員と相互に慣れてもらったこと、その後研修乗船に至ったことなど、初乗船までのプロセスも紹介した。

 井本商運の山下良一安全監査室次長は「新たなる脅威に備えて」の演題で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う運航船と船員の防疫対策や、万が一の事態における業務フロー策定など、同社の実践的取り組みを細部にわたり説明した。

 同社は感染症対策に際し、航海術の誤差三角形の概念を例示し、危険因子である感染リスクに近い場所から対策を進めた基本的姿勢を紹介。船上では啓発からチェックリストをはじめ、予防の主体となる船員にさまざまな角度から意識付けを進めたことを明かした。

 並行して会社対応も次々施策化。運航船の衛生資材の見える化や平準化、先行事例を取り入れた消毒マニュアル策定、予備消毒訓練、感染発覚時の消毒業者選定や船内構造などの提出資料作成など、さまざまな事態を想定した対策を説明した。