船員支援キャンペーン第2弾
 印刷 2020年07月13日デイリー版1面

MariTech 海事未来図】三菱商事、自律運航技術企業に出資。フィンランドのグロークテクノ。システム共同開発へ

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 船舶の自律化や無人運航の実現に向け、日本企業の動きが活発化している。三菱商事はフィンランドで自律運航技術の開発を手掛けるグロークテクノロジーズに出資した。両社は今後、共同で運航時の監視業務における船員のストレス低減や船舶の安全性向上につなげることができる、状況認識システムと運航支援システムを順次開発していく予定。三菱商事は電気推進船(EV船)の開発・普及を目指す「e5ラボ」にも出資しており、両事業のシナジー(相乗効果)が期待されている。

 グロークテクノロジーズは、三菱商事と共に日本とフィンランドを主要開発拠点に技術開発と、顧客に提供可能な複数のソリューションの比較・検証をしている。

 同社のユハ・ロッカCEO(最高経営責任者)は日本の海事産業について、「長年にわたり培われてきた強力な海事クラスターが存在しており、日本が自律運航技術のイノベーションリーダーになり得る可能性は十分に認識している」と高く評価している。

 グロークテクノロジーズは今後、三菱商事との強力な協業により、まずは最初の製品として状況認識システムを提供する方針を示している。

 ロッカCEOは、他社との協業機会に関しても前向きに考えており、自律運航化を中長期的に視野に入れた最先端技術の共同開発・商業化と、日本の内航船への円滑な導入を支援しつつ、より安全で働きやすい職場環境創出に寄与することを目指す。

 また、カスタマーソリューション担当副社長のイーロ・リンドバーグ氏は、「周囲の船舶や危険物の感知は、船種によらずどの船舶においても課題であることから、船員と共に周囲の状況を監視するシステムを開発している。最も困難な運航環境下においても正確な情報を提供し、安全運航に寄与できる付加価値の提供を目指したい」とコメントしている。

 グロークテクノロジーズは、現在の自律運航技術開発の先駆者であるロールスロイス・シップインテリジェンスチーム出身の4人により2019年に設立。同社は自律航行関連技術に関する豊富な知識に加え、世界各地のさまざまなデジタル企業や人工知能開発企業との協業を通じたIT分野における強力な業界横断的なコネクションや強みを積極的に活用している。

 三菱商事は、ゼロエミッション(排出ゼロ)EV船の企画・デザインなどを行う「e5ラボ」に、旭タンカーやエクセノヤマミズ、商船三井と共同で出資している。船舶の次世代技術として注目されている「自律運航」と「電化」は、非常に親和性が高いと考えられており、同社は2つの技術をカバーすることで相乗効果を見込む。

 国内の船舶自律化・無人運航化を巡っては今年6月、日本財団が支援する日本連合による大規模プロジェクトが始動。海運・造船・舶用機器メーカー・商社など計40以上の企業・団体が参画し、各地で実証実験が行われる。