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 印刷 2020年07月10日デイリー版3面

佐川急便・東大など、AIと電力データ活用、不在配送解消へ実証実験。神奈川・横須賀で。22年度実用化

5者は9日、実証実験に関して調印式を開いた(写真中央が本村社長)
5者は9日、実証実験に関して調印式を開いた(写真中央が本村社長)

 佐川急便と東京大学大学院越塚登研究室・田中謙司研究室、日本データサイエンス研究所(JDSC)は9日、AI(人工知能)と電力データを使って宅配荷物の不在配送の解消を図る共同研究に、新たに神奈川県横須賀市とグリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合(GDBL)が参加すると発表した。5者は9月ごろから12月まで横須賀市で実証実験を行い、2022年度に実用化を目指す。こうした取り組みは世界初だという。

 各配送先のスマートメーターから得られる電力データを基に、配送先が在宅か不在かをAIが予測し最適なルートを提示する「不在配送回避システム」を構築する。

 プロトタイプの実証実験を横須賀市池田町と吉井の100-200世帯を対象に行い、有効性を検証する。さらに次の段階として、SGホールディングス(SGH)グループでの活用も検証する。

 18年に東大本郷キャンパスで行った配送試験では配送成功率が98%に上り、不在配送は人が最短経路を判断する場合に比べて91%減少した。総移動距離の削減率は5%だった。

 昨年9月に行った佐川急便の配送実績データを使ったシミュレーションでは、不在配送が75-89%、総配送時間が10-20%、それぞれ減少するなど一定の効果が確認された。

 これらを受け、佐川急便、越塚・田中両研究室、JDSCは昨年10月、3者共同の研究開発を決めた。今回新たに参画したGDBLは、東京電力パワーグリッドなど電力系企業とNTTデータで構成。電力データの活用実証や政策提言を行っている。共同研究への参加を通じて電力データ活用の新たな可能性を検討する。

 国土交通省などによると、宅配における再配送の割合は20%。車両の走行距離の25%を占め、年間9万人の労働力も必要になっている。経済損失は年間2000億円に達するという。

 佐川急便はシステムにより、不在再配送を削減し配送の最適化を図る。CO2(二酸化炭素)排出量の削減や新人の教育時間の短縮、労働環境の改善などにもつなげる考え。

 9日、東京都内の本社で会見した佐川急便の本村正秀社長は「不在再配達を削減するには『置き配』を含め、さまざまな方法を組み合わせることが必要だ。その一つとしてシステムの構築に取り組んでいきたい」と意欲を示した。

 その上で、「実験結果を独占するということはなく、日本の宅配インフラを維持していくために今後の展開を検討する」と話した。