船員支援キャンペーン第2弾
 印刷 2020年07月03日デイリー版1面

国交省、外航・造船支援 11月答申。国際競争力向上へ

「外航海運、造船業はわが国の経済安全保障上、必要不可欠な産業だ」と語る大坪海事局長
「外航海運、造船業はわが国の経済安全保障上、必要不可欠な産業だ」と語る大坪海事局長

 国土交通省海事局は2日、海運税制・造船支援制度などのスキームを構築するため、国際海上輸送部会と海事イノベーション部会の合同会議を開いた。低迷する日本の外航海運、造船業の活性化に向けた施策を審議し、11月までに方向性を取りまとめ、答申する。

 国際情勢の変化に伴い、低迷する日本の外航海運、造船業の支援策を検討するため、赤羽一嘉国交相が5月20日、交通政策審議会へ諮問。これに伴い、同月22日の交政審海事分科会で、合同会議の設置が決まった。

 合同会議の冒頭、大坪新一郎海事局長があいさつし、外航海運と造船業の厳しい現状を述べた上で、「両業界が共に好循環を生み出し、成長していくためにどのような方策を講じるべきか議論していただきたい」と強調した。

 続いて、両部会の部会長に選任された早稲田大学の河野真理子教授は「わが国の海運業、造船業がさらに国際競争力が向上できるように(施策を)考えていきたい」と話した。

 初会合となった合同会議では、事務方が外航海運と造船業の現状について説明した。外航海運では、世界の海上荷動き量の拡大が続く中、日本商船隊の輸送量は横ばい。こうした中で新型コロナウイルスの感染が拡大、世界的な生産、消費活動が停滞し、事業環境が悪化している。

 造船業では中国、韓国が台頭し、供給能力過剰の状態だ。近年では、韓国が自国造船業の支援のため、公的助成を実施するなど市場を歪曲(わいきょく)するような施策を行っており、日本の造船業にも悪影響を及ぼしている。また、コロナの影響でサプライチェーンが混乱し、新造船の引き渡しが遅れたほか、世界的な移動制限などにより新規受注も低迷する。

 こうした状況の中、外航海運、造船業の国際競争力を向上させるため、今後の課題について論点整理を行った。

 外航海運では、外航海運の位置付け、および外航海運企業が経済安全保障の観点から果たす役割▽外航海運の国際競争力の強化・経済安全保障の両面▽競争力の高い船舶の導入円滑化や日本船舶・日本人船員の確保などを含めた基盤強化のための取り組み-などを示した。

 造船業では、造船業の位置付け、および造船企業が経済安全保障の観点から果たす役割▽競争力の高い船舶を供給する基盤の在り方▽今後も求められる造船業であるために実施するべき取り組みについて-を挙げた。

 委員からは「新規需要を誘因するような海運税制の整備や環境に配慮した船舶を建造するための助成金の創設が必要だ」との提案もあった。さらに人材育成に関する意見もあり、「日本は少子高齢化で生産年齢人口が減っていく。こうした中、船員、造船・舶用工業の人材確保をセットで考えないといけない」との声も上がった。

 合同会議は今後、業界からのヒアリングなどを行い、11月の答申に向けて審議していく。