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 印刷 2020年06月30日デイリー版2面

日本郵船「IBISプロジェクト」、燃節でESG経営に貢献

推進本部の川口リーダー(右)と事務局長の川又氏
推進本部の川口リーダー(右)と事務局長の川又氏

 日本郵船はIBIS(Innovative Bunker & Idle-time Saving)プロジェクトを通じて、最適経済運航を追求している。今期のIBISプロジェクトのテーマは「燃節で“E”に貢献」。4月1日付で長澤仁志社長がESG(環境・社会・ガバナンス)経営推進責任者に就き、経営トップが率先して環境対策などに取り組む姿勢を打ち出した。IBISでオペレーションの最適化を図り、全社的なESG経営の推進を後押ししていく。

 前期は船舶SOx(硫黄酸化物)規制強化への対応という大きなチャレンジがあった。そのため低硫黄油への燃料転換を安全に実施し、船を止めないことがIBISプロジェクトのテーマでもあった。事前の入念な準備が奏功し、サービスを止めることなく燃料を切り替えるという難しい課題を無事に遂行できた。

 今期は燃節を中心とする本来のミッションに戻る。また、IBIS運営事務局メンバーの大幅な見直しも行った。燃節活動を主導する環境、海務、燃料の各グループの人員に加え、自動車船、ドライバルク、NYKバルク・プロジェクト、タンカーの各営業や、デジタライゼーショングループ、MTIといった技術系の担当者もメンバーに迎えた。

■次代担う若手中心

 「若手が中心となって、主体的に次世代のオペレーションを考えてほしい」

 事務局長を務める川又竜也氏(環境グループグループ長代理)は、幅広い部署から若手のメンバーを募った理由をこう語る。

 今期は新型コロナウイルスの世界的大流行が船舶のオペレーションにも大きく影響してくる。万一の荷動き減少に備え、長期間のドリフティング(洋上待機)やレイアップ(係船)も視野に入れ検討をすることも必要になる。

 各国政府の渡航制限や航空便の減少で船員交代が難航していることも、通常のオペレーションを妨げる要因になっている。船員交代のために、一時的に航路から外れるデビエーションが発生する可能性もある。

 コロナ禍で平時とは異なるオペレーションが求められていることから、運営事務局は5月28日に緊急企画としてウェブを利用したリモート形式の勉強会を主催。運航面で工夫できることや船員交代の注意事項を説明した。社内の関心は高く、197人もの参加があった。

 郵船は2012年度にコンテナ船を対象に、IBISプロジェクトを立ち上げた。

 気象・海象予測や海流情報、本船の速度やエンジン回転数などの運航状態、航海計画などの各種データを船陸間で共有し、最適で経済的な運航を実現することが狙いだった。

 そのための具体的なツールが船舶データ収集装置「SIMS(シップ・インフォメーション・マネジメント・システム)」と、SIMSのデータを可視化・分析する「ライブ」になる。

 13年度には「IBIS Two」にプロジェクトの名称を変更。コンテナ船で燃費節減効果が確認できたため、全船種で最適経済運航を目指す体制に改めた。

 19年度は「IBIS Two Plus」へと改名し、燃費節減に加えてハードとソフトの両面からオペレーション関連業務の効率化を図る取り組みも始動。オペレーターの教育やオペレーションスキルの伝承にも取り組んでいる。

 IBISプロジェクト推進本部の川口浩リーダー(ドライバルク輸送品質グループグループ長)は「船舶管理とオペレーションは他社との差別化の源泉になる」とオペレーション業務の重要性を強調。その上で、「IBISを全社的なオペレーションのプラットフォームに育てていきたい」と語った。