MariTech Webinar Japan 2020 <日英同時配信>
 印刷 2020年06月05日デイリー版1面

SITCグループ、日本で物流強化。鋼材・シー&レール開拓。新会社設立、社長に呂氏

コイル輸送に専用コンテナ
コイル輸送に専用コンテナ
呂開献氏
呂開献氏

 中国海運・物流大手SITCグループは日本での物流事業展開を加速する。このほど、新会社SITCインターモーダルジャパンを設立し、営業を開始した。強みを持つアジア域内海上輸送に加え、コイル(鋼材)輸送や、シー&レールなど特色あるサービス提供により、日本市場を開拓していく。新会社社長には前SITCジャパン社長の呂開献氏が就任した。

 SITCはグループ内に海上コンテナ輸送のSITCシッピングと、デポ運営など物流事業のSITCロジスティクスを置く。SITCロジスティクスは中国発着の国際鉄道輸送やアジア各地でのコンテナデポ運営・ドレージ(コンテナ陸送)など、既に陸上物流事業を大規模に展開している。

 新会社はコンテナ船事業での日本法人SITCジャパンと連携しながら、日本の物流市場を開拓する。

 新会社社長を務める呂氏は2017年初までSITCジャパンの社長を務め、日本市場に精通した人物だ。呂氏は、「海上輸送部分だけでは差別化がしにくい。船社が陸上部分まで一貫で手掛けるという動きは広がっており、SITCグループとしても海上輸送の両端(陸上部分)のニーズを取り込んでいきたい」と戦略を語る。事務所はSITCジャパン内に構えるが、ホームページ(http://sitcintermodal.co.jp/)は独自に開設している。

 新会社はコイルや液状化学品など特殊貨物輸送、シー&レールなど複合輸送を順次提供していく。

 SITCグループは昨年末、コンテナでのコイル輸送を専門に手掛ける中国フォワーダー、広州COWIN(以下コウィン)に4割出資。同社の機能・アセットを軸に、コンテナでのコイル輸送拡大に乗り出した。

 通常、海上コンテナ(20フィート型)でのコイル輸送は、積み付け・安全性の問題などから1コンテナ当たり6-10トン前後、最大でも20トン未満に限られている。

■最大29トンの積載可能

 コウィンが開発・保有するコイル専用コンテナでは独自のV字型床面や取り外し可能な天井面を採用するなどコイル輸送に特化した設計を施し、積載の効率性、安全性を向上。最大29トンまでの積載が可能だという。

 日本発コイル輸送は在来船が主力だが、コンテナ船の多頻度輸送、小ロット対応、最終目的地までの一貫輸送などのメリットを生かし、鉄鋼会社・商社などに輸送提案を行う。これまでコウィンの日本代理店を務めた東興物流(楊東明社長)とも引き続き連携していく。

 液状貨物輸送では、中国のタンクコンテナ企業上海ミルクウェイや、フレキシタンク製造のLAFパッケージングと提携。貨物のロットに応じて適切な輸送容器を提供できる体制を整えた。

 海上輸送はSITCの本船活用が基本だが、地方港や、アジア側でのニッチ港などSITCがカバーしていない港もあり、顧客の要望に応じて他船社の船腹も柔軟に活用する。

■中国内陸まで一貫で

 グループのネットワークを生かした複合輸送拡大も進める。

 SITCは中国鉄道傘下の中鉄集装箱(CRCT)と昨年、戦略的提携を締結。CRCTのコンテナを使った中国内陸-アジア各国の一貫輸促進で合意している。

 SITCは華東・寧波、華北・大連、華南・錦州を鉄道ハブとして、重慶や成都、さらには中央アジア・欧州側までの鉄道一貫輸送を提供できる。11月には華南・南沙港も鉄道ハブに加わる見通し。日本発着でも今後、中国内陸との一貫輸送を展開していく方針だ。

 シー&エアも今後拡大する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で航空便に混乱が生じているが、通常時では中国の空港、特に上海浦東など主要空港は混雑がひどく、スペースが取りにくい状況が続く。

 呂氏は「成田・羽田の首都圏空港のインフラは高品質でネットワークも充実しているが、航空スペースには(上海などと比較して)余裕がある。このリソースを活用したい」と説明。SITCのサービスで中国貨物を日本まで海上輸送し、航空輸送で全世界に転送するシー&エアを提案する。

 既に北米向けでトライアルは実施済みで、保税転送などの課題もクリアしている。EC(電子商取引)貨物などで需要が高いと見ている。