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 印刷 2020年06月02日デイリー版1面

新型コロナ】海運各社、船員確保へ独自策。供給国寄港、ジェット機活用も

 新型コロナウイルスの感染拡大で船員交代が難航する中、海運各社は独自の交代策を模索し、実行に移し始めている。邦船社の中ではすでに船員供給国に直接船を寄港させ、同国出身船員の交代を図る動きが表面化。またある国内船主では、実現には至らなかったものの、顧客のプライベートジェット機を船員供給国に飛ばし、船員の確保を図る検討を行ったという。世界的な水際対策や移動制限が続く中で、海運各社は工夫を凝らし、船員交代や船舶の引き渡しのための船員の手配に奔走している。

 「本船、船員の状況を的確に捉え、パズルのピースを埋めるように、船員交代の効果的な方策を模索していた」

 邦船関係者はそう語る。

 同社は船員供給国に直接船を寄港させ、船員の交代を図る方策を検討、5月下旬から実施し始めた。これまでに日本とインドを対象に実施した。日本では緊急事態宣言が解除されたが、コロナ問題そのものは世界的にも終息していない。

 感染リスクが続く中で、同社は今後も船員供給国に直接寄港するという方策を、必要に応じ実施していく方針。

 ただ、同手法では、本来の運航スケジュールでは最適とされる航路からいったんデビエーション(航路離脱)させて、船員供給国に向かう必要がある。

 そのため、「荷主も含めたサプライチェーン全体の協力が不可欠」(同関係者)という。

 海外勢でも船員供給国で当該国の船員を確保する動きは広がっている。香港の船舶管理大手アングロ・イースタンは先月下旬にインスタグラムでインド人船員計34人を、インドで交代したと発表している。

 他方、ある国内船主では新造船の引き渡しで必要となる船員の確保のために、顧客のプライベートジェット機を使うという奇策を検討した。ジェット機で船員供給国に向かい、当該国の船員を乗せ、引き渡し地点の国に向かうというもの。

 「旅行会社とも検討を重ね、感染リスクを極力抑えた上で船員の確保を図ろうとしたが、コストが高く、実現しなかった」 同船主関係者はこう振り返る。

 一方で、「今後の情勢次第では再度、同手法の検討も行う」と語る。

 通常、船員交代はフィリピンなどの船員供給国から交代地の国へ航空機で新規要員を派遣し、荷揚げやドック入りなどの節目に数人ごとに分け、段階的に実施していく。

 だが、感染が広がる中で、船員供給国でのロックダウン(都市封鎖)や水際対策の強化などで、一連のオペレーションが停滞。足元での船員交代の需要は15万人規模にも達している。

 交代需要が高まる一方、さまざまな規制が講じられる中で、海運各社は独自の船員確保策に取り組み始めた。