海事アカデミア202104
 印刷 2020年06月01日デイリー版2面

インタビュー 海事デジタル革新】インマルサット海事部門プレジデント。ロナルド・スピッソウ氏(1面続き)

MariTech (2)
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インマルサットが4月に発表した日本市場向け研究報告書
インマルサットが4月に発表した日本市場向け研究報告書

 --日本企業のスタートアップとの連携事例は。

 「日本郵船グループ、ウェザーニューズ、構造計画研究所がシンガポールで『シンフォニー・クリエーティブ・ソリューションズ』を設立し、革新的な製品やプラットフォームを発信している。同社は、邦船3社の定期船事業統合会社オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)、シンガポール国立大学傘下のNUSエンタープライズと共同で『O(オー)3チャレンジ』を展開し、スタートアップ企業に新しいアイデアの具現化の機会をもたらしている」

 「前述したように、日本におけるスタートアップとの連携の事例はまだ少ないが、状況は変わりつつある。今回の報告書では、船舶管制システムの開発・運用を手掛けるアイディア社(本社・東京都)が優れたユーザー体験デザインと産業用ナビゲーション機器を組み合わせた舶用ナビゲーションシステムを構築したことを紹介している」

■具現化1000以上目標

 --インマルサットが現在進めるデジタル分野の重点プロジェクトは。

 「当社は今年3月、スタートアップ活用を目的としたアジア初の『脱炭素化海運プログラム』の創設メンバーとなった」

 「シンガポールのMPA(海事港湾庁)が支援するこの地域イニシアチブは、ベンチャー開発企業レインメイキングによる貿易・運輸インパクト(TTI)プログラムの一環であり、海事分野の経験と専門知識を有する支援者とスタートアップを結び付け、1000以上の脱炭素化モデルのプロジェクト化が期待される」

 「一方、自律運航技術では『One Sea』プロジェクトに参画し、2025年をめどに自律的海事エコシステムの運営を目指している」

 --コロナ禍でデジタル技術の重要性が改めて認識されている。

 「これから船とオフィス間の接続強化が一段と進み、CCTV(閉回路テレビ)やビデオ通話、リアルタイム分析、モニタリングなど、より多くのアプリケーションが使用されるようになるだろう。デジタル通信環境の整備はデータ活用やAI(人工知能)、乗組員向けウエアラブル(着用可能)技術を促進し、船をより効率的でグリーンにし、安全性向上に貢献する」