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 印刷 2020年05月25日デイリー版2面

英P&Iクラブ コロナ禍での船員支援】スタンダードクラブ、上級検査員 ラウール・サプラ氏、クレーム担当アシスタント マリア-エレナ・モルトザノウ氏:「解除後」大量交代に注意(その2)

乗組員とCOVID-19陽性者の接触履歴の確認もする必要がある
乗組員とCOVID-19陽性者の接触履歴の確認もする必要がある

■感染管理計画を

 --船員の感染リスク対策をどう取るべきか。

 「世界中の科学者は、COVID-19(新型コロナウイルス)の治療法やワクチンを見つけるためにたゆまぬ努力を続けている。今のところ、予防が最良の対応策だ。スタンダードクラブは、国際海運会議所(ICS)の『船員の健康保護のための船舶オペレーター向けガイダンス』を推奨している」

 「このガイダンスは、WHO(世界保健機関)、IMO(国際海事機関)、ILO(国際労働機関)、欧州疾病予防管理センター(ECDC)などの国際機関が提供するアドバイスに沿ったものだ」

 「COVID-19の感染は、たとえ無症状であっても、主に感染者の飛沫(ひまつ)(droplets)を介して起きると考えられている。ICSとWHOは衛生、頻繁な手洗い、顔に触れないようにする、ソーシャルディスタンス維持などの重要性を強調している」

 「船員の感染リスクを減らすための重要ポイントは大きく3つある。第1点は感染とその広がりの傾向に関する意識と情報周知、第2点は衛生管理と個人用保護具(PPE)を含む適切な予防措置、第3点は船と会社組織向け『アウトブレイク管理計画』の策定だ」

 「アウトブレイク管理計画は具体的内容として、船内での感染が疑われるケースの管理と隔離方法▽乗組員の健康申告を含む乗船前情報の共有▽スクリーニング強化とギャングウエー管理▽不要不急の訪問者の接触回避▽港湾関係者、パイロット、測量士を含む船陸間の接触の管理▽供給品と機器の消毒と管理-などで構成される」

 「船の寄港中の感染リスク低減については、IMOが国際P&Iグループを含む業界団体とともにガイダンスを発表し、船陸間の人員の安全な船上インターフェースの確保を奨励している」

■船内感染8手順

 --船上で乗組員の感染が疑われる場合の対応策は。

 「テストを実施しなければ、船上チームが乗組員のCOVID-19感染を確認することは困難だ。船上チームは各船員の症状の兆候を注意深く観察することに加えて、無症状者からの感染の可能性も考慮し、乗組員とCOVID-19陽性者の接触履歴の確認にも留意する必要がある」

 「船員の1人に症状があり、COVID-19感染の疑いが強い場合は、次の8つの手順を実行する必要がある」

 「 1.会社に連絡し、医師の診察を受ける 2.感染者を病室、または個別のトイレと入浴施設を備えたキャビンに隔離する 3.独立した空調ダクトで換気が行われていることを確認する。WHOはドアを閉じておくことを推奨している」

 「 4.患者の介護者の数を制限し、理想的には健康状態が良好な1人を割り当てる。介護者は適切なPPEを着用し、距離を維持しながらWHOが推奨する衛生プラクティスに従う 5.感染が疑われる船員の洗濯器具や廃棄物などは、残りの乗組員から分離して保管し、適切に処分する」

 「 6.訪問者は許可すべきではなく、港への到着前に陸上当局に現状を通知する 7.感染が疑われる船員と介護者が密接にコンタクトする際にはプラスチックオーバーオールまたはエプロンが不可欠となる」

 「 8.P&Iクラブへの通知と陸上の医療支援の要請により、可及的速やかに診断検査と医療の手配を図る。重大なケースでは、緊急避難が必要な場合がある」

 「IMOは海上貿易の重要性を強調するいくつかのサーキュラー(回章)を発表し、国籍にかかわらず、全ての船員に医療が提供されるよう加盟国に促している」

 「スタンダードクラブは、世界中のさまざまな港で船員の感染の疑いや、無症状者から重篤者に至るまでサポートを提供している。現地のコレスポンデンツが関係当局やエージェントと連絡を取り、乗組員を病院に移送するための全ての措置を講じる。必要に応じて船上での医師の診断も手配する」