日本海事新聞社 物流ウェビナー2
 印刷 2020年04月08日デイリー版1面

新型コロナ】緊急事態宣言、海陸ネットワーク維持。港湾も機能確保。指定公共機関、海運・物流22社

表・グラフ

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府は7日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく「緊急事態宣言」を東京など7都府県に対して発令し、国民生活に影響が出ないようにする。運輸業を自粛対象に含めず、指定自治体に所在する港湾を結節点とする海上-陸上輸送ネットワークを維持する。港湾も通常通り機能を確保するほか、内航・フェリーも運航を継続する。指定自治体から医薬品などの緊急物資が必要な場合は、特措法に基づき運送事業者である「指定公共機関」に輸送を要請することになる。(2・3面に関連記事)

 緊急事態宣言後も経済活動に支障がないよう、政府は物流機能を維持。運送事業を所管する国土交通省は関係省庁やトラックなどの運送事業者、各自治体と連携し、経済活動が維持できるように必要な輸送機能を維持していく。

 特措法では、緊急事態宣言を発令した後、都道府県知事らが緊急物資の運送をあらかじめ「指定公共機関」と定めている物流事業者に要請できると規定されている。物流事業者が応じない場合はより強制力のある「指示」を出すことができる。これに加えて「指定公共機関」の物流事業者は事前に作成している業務計画に従い、貨物運送を適切に実施するため必要な措置を講じるよう義務付けられている。

 指定公共機関のうち、海運・物流は外航海運3社、内航9社、フェリー5社、貨物運送大手5社など(表参照)。各港湾で荷役作業を担う港湾運送事業者は指定公共機関の範囲には入らないが、指定公共機関の求めに応じ円滑な輸送を確保するため柔軟に対応する。

■フェリー運航継続

 内航海運は緊急事態宣言発令後も輸送サービスを継続していく方針で、関係者も「現時点では宣言が発令されることで輸送を取りやめるという話は特に聞いていない。運航が継続されていくことになる」と説明。内航船社幹部は「われわれの輸送によって国内の生活を支えているため、輸送を止めることはできない。緊急事態宣言の対象地域を発着する航路も引き続き運航していくことになる」と話す。内航海運は国内物流のトンキロベースで4割強を担う重要な物流インフラだけに、船員などへの新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた対策を万全にした上でサービスを継続させる。

 一方、長距離フェリーなどの旅客輸送を行う航路も運航が継続される方針だ。フェリー船社首脳は「新型コロナウイルス感染拡大防止策を徹底して行った上で、旅客輸送、貨物輸送とも通常通り運航を継続することになる。フェリー船社によっては、緊急事態宣言後に国などが緊急物資の運送を物流事業者に要請できる『指定公共機関』に該当する場合もある。要請された場合には対応していくことになるだろう」とコメント。国土交通省海事局内航課も、「現時点では、今回のことで運航を休止するといった連絡は入ってきていない」と説明している。

■物流、従来施策徹底

 物流業界は陸運大手が指定公共機関に指定された。そのうちの1社、日本通運は「今後、国や都道府県からの要請に従った対応を取る」との方針を示す。

 休業要請は各自治体の判断で行われるが、食品・医薬品など公共性の高い品目を取り扱うなど、社会インフラの役割を担う物流サービスは、休業要請の対象とならないのが規定路線。コロナ感染対策については従来、さまざまな対策を取っており、緊急事態宣言を受けて特別な対応を取る企業は少ない。

 各社は事業継続へ「時差出勤や在宅勤務を本格化する」(大手倉庫企業)、「事務所勤務者については、テレワーク対象者の比率をこれまでの3割程度から6割程度まで拡大するなどの対応を取る」(中堅フォワーダー)など、これまで継続してきた施策を踏襲・拡大する。出張や社外講習への参加禁止やビデオ会議の促進、会合を持たざるを得ない場合もソーシャルディスタンシング(感染予防のために人と約2メートルの距離を取る)の実施などを徹底していく。