印刷 2019年10月09日デイリー版1面

IMO2020 SOx規制】ECLとADEKA、スラッジ分散剤を共同開発。燃料混合リスク抑制。安全運航に寄与

ECL運航の自動車船
ECL運航の自動車船
ECL運航の近海貨物船
ECL運航の近海貨物船

 多目的貨物船・自動車船社イースタン・カーライナー(ECL、本社・東京都)と化学品メーカーのADEKA(本社・東京都)は、舶用燃料油のスラッジ(沈殿物)発生を抑制する燃料添加剤「アデカエコロイヤルSD-20」を共同開発した。来年1月に適用が始まる船舶SOx(硫黄酸化物)規制に伴い懸念されている燃料混合時のスラッジ発生リスクを低減し、機関トラブルを未然に防ぐことで安全運航を万全にする。

 「われわれは全社を挙げて安定運航に真摯(しんし)に取り組もうとしている。SOx規制という大転換期に当たり荷主、船主のニーズに応えられる最良の方法の一環としてADEKA社との共同開発に取り組んできた」

 ECLの村上信昭船舶安全部長は今回の燃料添加剤の開発について、そう語る。

 ADEKAは東証1部上場企業で化学品、食品など幅広い分野に展開。自動車のエンジンオイルの摩擦低減剤などで優れた実績を持つ。

 船舶向けは同社にとって新規分野。ECLとADEKAは2年以上をかけて今回の船舶向け燃料添加剤の開発に取り組んできた。

 ADEKAが自動車分野で培った技術ノウハウを発揮。ECLはSOx規制適合油のサンプル入手や、海上の運航現場に即したシミュレーション実験に協力し、添加剤の有効性の確認を重ねてきた。

 「アデカエコロイヤルSD-20」は7月下旬に日本海事協会(NK)からスラッジ抑制効果を保証する鑑定書を取得し、ECLは既に運航船隊での使用を開始している。

 スラッジ分散剤には大きく分けて酵素系と界面活性剤系の2種類がある。

 「アデカエコロイヤルSD-20」は界面活性剤系。スラッジ被害を引き起こす原因物質アスファルテンスラッジを包み込んで分散・安定化させ、スラッジ同士の凝集を抑制する。

■機関トラブル防止

 2020年1月に始まるIMO(国際海事機関)のSOx規制は、高硫黄燃料から規制適合油への切り替え時に混合によるスラッジ発生リスクが指摘されている。

 さらに規制適合油同士でも、補油エリアや製造時の燃料ブレンド方法などによって粘度や比重、流動点などの性状が大きく異なるため、燃料混合リスクが高まる懸念がある。

 燃料貯蔵タンクにスラッジが大量に発生すると、ストレイナー(こし器)の閉塞(へいそく)や清浄機の不具合、セットリングタンク(沈降タンク)・サービスタンク(給油タンク)の深刻な汚損を引き起こし、最悪の場合は機関トラブルにより船舶の運航を脅かす。

 ECLはスラッジ抑制効果を高めるため、燃料タンクの残油に対して「アデカエコロイヤルSD-20」と低硫黄MGO(マリンガスオイル)を一緒に投入して5日間程度置くといった入念な措置を講じている。

 伊藤幹夫常務理事は「いま世界の海運業界、石油業界がSOx規制を順守するために懸命に準備と努力を進めている。しかしながら、規制適合油の性状も多岐にわたり、混合安定性への不安、燃料転換前のタンク洗浄方法も船社によって考え方もまちまちであり、業界を取り巻く大転換期にもかかわらず、安全運航への取り組み姿勢は、おのおのの会社方針に委ねられている」と規制対応を巡る業界全体の問題点を指摘。

 その上で「ECLは20年1月に始まるSOx規制の対応に真剣に取り組み、機関トラブルを未然に防ぐための燃料添加剤の研究にも注力し、顧客に法令順守を示し、船舶の安全運航に努力していく」と決意を語る。