2019 日本コンテナ航路一覧
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 印刷 2019年08月14日デイリー版1面

CMB/水素燃料船の開発加速。二元燃料フェリー、ツネイシC&Fで建造。21年竣工、日本航路に投入

CMBグループの・サベリスCEO(左)とツネイシC&Fの神原代表取締役
CMBグループの・サベリスCEO(左)とツネイシC&Fの神原代表取締役

 ベルギー海運大手CMBグループが水素燃料船の開発を加速している。世界初となる水素・重油二元燃料の小型フェリーの建造を決定。常石グループのツネイシクラフト&ファシリティーズ(ツネイシC&F)で建造、2021年竣工予定で日本航路に投入する。また、水素燃料の中速エンジン開発の合弁会社新設と、英国の水素燃料エンジン開発会社の海運部門買収も表明。環境負荷低減に寄与する新技術の普及に向け「起爆剤の役割を担う」(CMBジャパン)考えだ。

 CMBグループは水素燃料船の開発など一連の技術開発について8日発表した。

 ツネイシC&Fで建造する水素燃料対応のフェリーは、19総トン以下の小型船で80人乗り。CMBジャパンによると、船名は「ハイドロビンゴ(HydroBingo)」になる予定で、日本発着航路に投入する計画だ。

 エンジンはCMBが協業するスウェーデンのエンジン・メーカー、ボルボ・ペンタ製の「D13」をベースに改修した「HyPenta」を搭載する。

 CMBは「ツネイシC&Fの最先端の建造能力と、CMBテクノロジーズが持つ水素燃料システムに関する広範なノウハウを融合することで、海運でのCO2(二酸化炭素)排出量ゼロに向けたマイルストーンとなる革命的な船を建造したい」としている。

 CMBグループのアレクサンダー・サベリスCEO(最高経営責任者)は昨年11月、本紙の取材に対し、16年に立ち上げた技術開発部門「CMBテクノロジーズ」を中心に、水素燃料システムの研究を進めていることを明らかにしていた。

 CMBジャパンの青沼裕代表取締役は今回、ツネイシC&Fで水素燃料フェリーの建造を決めた経緯について、「水素燃料システムの研究に注力する中、CMBにとって(船腹調達などの)一大マーケットである日本で、付き合いのある会社を中心に約1年前から協議を進めてきた。結果、次世代への責任として新技術の開発に積極的に取り組むという、方向性を共有できたのがツネイシC&Fだった」と話した。

 またCMBは、ベルギーのエンジンメーカーであるABCエンジンズと、水素燃料による舶用中速エンジンを共同開発する合弁会社「BeHydro」を立ち上げたと発表した。

 新会社で20年中に、小型フェリーへの搭載を今回決めた「HyPenta」より大型な、出力0・8メガ-2・8メガワットの水素燃料エンジンを開発する計画。

 この規模の出力の機関は、小型フェリーやタグボートの主機として使用されるほか、小型のバルカーやコンテナ船の補機としても使用できる。

 青沼氏は「商船の補機として水素燃料システムを使用できると実証できれば、環境が整い次第、主機としての開発に移る可能性が高い」としている。CMBは将来の水素燃料バルカーの実用化も視野に入れている。

 さらにCMBは、英ブレントウッドに本拠を置くエンジン開発会社「リボルブ・テクノロジーズ(RTL)」の海運部門を買収した。始動した新会社「CMBリボルブ・テクノロジーズ」には、水素燃料エンジンに精通した技術者29人が所属する。

 RTL社は水素燃料エンジンを10年以上にわたって開発してきた同分野のパイオニア。CMBが水素燃料エンジンを搭載した世界初の船舶として開発した、16人乗りボート「Hydroville」のエンジンもRTLが開発した。

 このほかCMBは、CMBテクノロジーズが水素燃料船の開発を共同で進めている欧州のクルー輸送船(CTV)運航大手ウィンドキャット・ワークボーツが、スウェーデンの電力大手バッテンフォールに水素燃料CTVによるサービスを提供することで合意したと発表した。

 ウィンドキャットがオランダの洋上風力発電施設向けに水素燃料CTV「HydroCat」を投入する。同船は欧州の造船所で建造しており、来年後半に運航を開始する予定だ。