2019 日本コンテナ航路一覧
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 印刷 2019年08月07日デイリー版2面

MariTech×ShipDC 海事未来図】(6):JMU常務執行役員技術本部長・安部昭則氏/日本はデジタル化で巻き返せる(その2)

「環境規制への対応という面でもデジタル化は必須」
「環境規制への対応という面でもデジタル化は必須」

■全工程を見える化

 --具体的にどのようなことをしていくのか。

 「設計から生産につながる情報を一貫したデータベースとして統合し、全事業所が同じ情報に基づいて活動できる環境を整える必要がある。併せて工場に各種のセンサーを入れ、各工場の全体工程を見える化する。溶接ロボットを拡大し、熱くてきつい作業をなくすことも必要だ。造船は天候に左右されることが多いが雨や風の影響をできる限り数値化し、工程を阻害しているのがどこか分かれば、集中的に対策を取ることもできる」

 「さらに、製造工程では正しい図面情報がタイムリーに取れるようにする。デジタル化が進めば設計情報の混乱は少なくなり、きちんと最適なステージで溶接でき、検査も工程内で計画的に行えば、品質も上がるしスピードも上がる」

 --デジタル化によってどのような展開があり得るのか。

 「造船に対する外的要因としては環境規制がある。IMO(国際海事機関)によるEEDI(エネルギー効率設計指標)やGHG(温室効果ガス)の規制値は2030年までは造船技術でほぼクリアできるが、そこから先は今と違う発想をしないといけない。別の産業界ともコラボし、一緒に答えを見つけ出していく必要がある。そのためにもわれわれ自身がデジタル化していかないと、最先端の分野とは課題を共有化できない。そうした環境規制への対応という面でもデジタル化は必須と考えている」

 「何より50年の世界はわれわれ自身で組み立てないといけない。現在、JMUの技術研究所に30年先の研究を行う部門を作り、異分野の技術調査を進めている」

■デジタルで標準化

 --日本造船は今後どうなるのか。

 「今後さらに巨大化する中国・韓国の造船所と戦うには、現在の国内造船所の規模では難しいのではないか。だからこそ、会社間で協力するためにもデジタルで標準化しなくてはならないと考える。胃袋(建造能力)では負けているので、調和と最適化といった『日本力』が鍵である。日本はデジタル化によって十分巻き返せると考えている。世界シェアを3割に上げるという数値目標は何としても実現したいものだ。決して技術で負けているわけではない。デジタル化をベースにした設計・生産・調達の効率化とビッグデータの活用による新しいビジネスモデルの創出によって再び魅力ある事業に返り咲きたい」

(週1回掲載)