2019 日本コンテナ航路一覧
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 印刷 2019年08月05日デイリー版4面

記者の視点】梶原幸絵:物流危機を乗り越える/五輪機に抜本的改革を

 2020年東京五輪・パラリンピックまでいよいよあと1年。インドア派の自分でも、個人的には4年に一度の世界的なイベントに立ち会える幸運に感謝したいが、生活への影響も懸念されるところ。大会期間中は観客、大会関係者、大会関係車両が首都圏に流入する。試しに都が公表している道路や鉄道の混雑予測を見てみると、何も手を打たなければ通勤の苦痛が増すこと必至の見通しだ。何よりも、社会・経済のインフラである物流への影響も大きい。

 このため、東京都は大会期間中の交通混雑緩和を図るTDM(交通需要マネジメント)を推進し、物流分野では企業に対して物流の抑制や分散を呼び掛けている。これを受け、荷主企業の間では対策の検討が本格化。キユーピーや味の素など大手食品メーカーは早朝・夜間納品や検品の簡素化、受注翌々日配送・リードタイム延長に取り組む。

 アサヒビールは大型トラックの3割以上の運行削減・時間帯分散を図る。輸入原料・商品の受け入れ時期の前倒しを検討するのに加えて商品の荷揚げ港を東京港以外に変更。配送も混雑のピーク時間帯から分散させる考えだ。

 クボタなど大手製造業は、内陸のICD(インランドコンテナデポ)を活用した海上コンテナのラウンドユース(CRU)により、ドレージ(横持ち)を削減する取り組みに力を入れている。ICD-東京港間の配送を夜間に行えば、昼間時間帯の混雑緩和にもつながる。常陸那珂港(茨城港常陸那珂港区)などの活用も有効と見ている。

 大会期間中とその前後の東京港の混雑対策は、五輪成功の鍵を握ると言っても過言ではない。東京港ではCY(コンテナヤード)と周辺の混雑が慢性化しており、サプライチェーンの阻害要因になっている。海コン輸送業界の存続も脅かすなど関係者の負荷が増している。

 その上、港湾近隣には競技会場が多く立地。都が6月に公表した「臨海部混雑マップ」によると、大会期間中、何も対策をとらなければ競技会場が集中する有明・台場地域は恒常的な混雑が予想され、各埠頭までの地区も日中は全体的に混雑するという。

 都はゲートオープン時間の延長や24時間利用可能なストックヤード(オンシャーシコンテナの一時保管場所)の大幅増設、ウェブカメラ増設による道路情報発信の強化、フィーダー・はしけの利用促進などの対策を進めている。年度内には中防外Y2ターミナルの供用を開始する予定だ。今月下旬には、ゴールデンウイーク(GW)に続く五輪対策トライアルの第2弾としてストックヤードの試験運用とゲートオープン時間の延長を行う。これにより、ドレージの夜間・早朝シフトを促す。

 このほか、対策としては鉄道の活用や輸入コンテナのフリータイム厳守・短縮なども有効だろう。五輪対策に官民挙げて取り組むことは、大会期間中ばかりでなくその後の東京港の混雑緩和につながることが期待される。先に挙げた荷主企業の取り組みも同様に、発着荷主、物流事業者の連携で抜本的な物流改革に弾みがつく可能性がある。「オリンピック・レガシー」として「物流改革」を残し、物流危機を乗り越えたい。