2019 日本コンテナ航路一覧
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 印刷 2019年07月30日デイリー版4面

記者の視点】船木正尋:緊迫ホルムズ海峡/日本商船隊の護衛、現実的対応を

 日本政府は、米国が提唱する中東ホルムズ海峡を巡る有志連合構想について慎重に検討を進めている。米、イラン両国のにらみ合いの中、日本政府は同盟国である米国、友好関係にあるイランとの板挟みになっている。

 参院選の結果を受けて22日に自民党本部で開いた会見では、安倍晋三首相の言葉に複雑な思いが垣間見られる。「日本は原油の8割以上を中東に依存している。中東の平和と安定は安全保障上、死活的に重要視している」と述べつつも、「(有志連合構想で)どのように対応していくのか。今、米国と緊密に連携を取っている。同時に、イランとも伝統的に友好関係である。その中で、緊張緩和に向けて努力していきたい」と訴えた。

 政府は9月の国連総会に合わせ安倍首相とイランのロハニ大統領の会談も模索しており、イランとは外交努力を通じて緊張緩和を目指す方針だ。

 ホルムズ海峡は、日本籍船や準日本籍船、FOC(便宜置籍)船を含め日本商船隊約1700隻が原油などの輸送で通航しており、日本をはじめ世界のエネルギー産業を支える海上交通の要衝。だが、同海峡付近で5月以降、日本企業が運航するタンカーなどへの何者かによる攻撃が相次いでいるため、通航船は攻撃回避を目的に全速を出さなければならず、燃料費もばかにならない。

 加えて、船舶の戦争保険料も10倍に高騰し、コストはかさむばかりだ。イランと米欧の関係が一層悪化すれば、原油価格も上昇しかねない。海運業界にとってはダブル、いやトリプルパンチとなる。

 外交ルートを活用した解決策も重要だが、日本のエネルギー行政を守るためには、民間船舶の護衛を目的とした海上自衛隊の派遣もやむを得ないのではないか。

 米国主導の有志連合の内容は25日、明らかになった。周辺海域の監視を強化して民間船舶を守る「番人(センチネル)作戦」では、監視と護衛の2つを実施。監視は米軍を中心に各国が無人機や艦船を派遣し、情報共有する仕組みを構築するという。船舶の護衛は各国の判断に任せる。

 これ受け、岩屋毅防衛相は「派遣は決まってない。報告を聞いた上で、どう対応するか検討したい」と述べるにとどめた。

 政府内では、海自の艦船や航空機を派遣する場合に、自衛隊法に基づく「海上警備行動」の発令が有力視されている。ただ、保護の対象は日本関連の船舶に限られ、各国と共同で海域を守るには制約が大きいといった課題がある。現行法で対応が難しいのであれば、特別措置法などの新法も検討しなければならないだろう。

 中東の平和と緊張緩和のために日本が国際的な枠組みに加わるには、船舶の護衛が目的であることを国際社会に表明し、現実的な対応策を取る必要があるだろう。