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 印刷 2019年07月18日デイリー版1面

IMO2020 SOx規制】川崎汽船/適合油5割先行確保。今秋-来春、星港・中国・パナマで

会見する浅野専務
会見する浅野専務

 川崎汽船が2020年開始の船舶SOx(硫黄酸化物)規制への対応として、硫黄分0・5%の低硫黄燃料(VLSFO)の先行調達を進めている。現在までシンガポール、中国、パナマで今年11月-20年3月の同社需要の約50%の確保にめどを付けた。さらに、8月にはSOx規制対応の専門組織「グローバルキャップ対応チーム」を立ち上げ、海技者3人を専属メンバーに、円滑な燃料転換を図っていく。

 「国際規則順守に向け、規制適合油の手配や燃料転換をスムーズに行い、船を止めないこと。そして経済的なインパクトを極力、最小化することが求められる」

 川崎汽船の環境技術委員長を務める浅野敦男代表取締役専務執行役員はSOx規制対応における海運会社の使命をそう語る。

 川崎汽船のSOx規制対応は自社船、用船を合わせた運航船400隻規模が対象となり、燃料消費量は年300万トン弱に達するとみられる。

 VLSFOの調達価格はMGO(マリンガスオイル)指標マイナスアルファで大手サプライヤーと合意。シンガポールなどでのVLSFO逼迫(ひっぱく)の可能性も考慮し、安定運航の万全のために早めの確保を図っている。

 燃料の品質確保に向けては昨年末以降、自動車船とケープサイズ計5隻でVLSFOのトライアルを実施。大手サプライヤーからサンプルの提供を受け、油の性状や燃焼性能、混合安定性を確認し、良好な結果を得た。

 8月に発足する「グローバルキャップ対応チーム」には専属の海技者3人に加え、安全運航グループと先進技術グループから数人が兼務で参加。主にVLSFOの補油計画や燃料切り替え時の技術的なオペレーションの立案を担う。

 川崎汽船グループの燃料切り替えは、低硫黄MGOにより、タンクに残った高硫黄C重油を希釈する方法を採用する。燃料ポンプで吸引しきれないタンク底部の高硫黄C重油の残油に対し、2倍の量の低硫黄MGOで希釈。この作業を2回繰り返すことで、20年1月以降の規制順守を万全とする。

 川崎汽船の試算によると、VLSFOで残油を希釈するよりも、MGOを使用した方がコストを低減できる。さらに事前準備として、残油をなるべく少なくするために、スラッジ分散剤を活用。自社船では既に15年から燃料タンクへのスラッジ分散剤の投入を続けており、SOx規制対応で用船にも対象を広げている。

 川崎汽船は今年初めから、荷主に燃料の切り替え方法を説明し、コスト負担への理解を求めてきた。運賃のBAF(燃料油割増金)についても、米調査大手S&PグローバルプラッツのVLSFO指標の反映だけでなく、当面の指標の不安定感を考慮して、今秋-来春までは実際の航海ごとの補油価格を適用する特別スキームも検討する考え。

 BAFの精算方法は、バルカーが1航海ごとの反映が基本。一方、自動車船などでは3カ月単位で後から運賃に反映する手法が主流となっており、今回の規制開始時には海運会社の負担が大きくなる懸念があるため、1カ月ごとの精算や、実際にVLSFOへの切り替え開始時期に合わせた運賃への反映を要請していく。