2019 日本コンテナ航路一覧
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 印刷 2019年07月18日デイリー版1面

船舶戦争保険料高騰/荷主負担主流。中東沖、配船先分散も

 中東沖で2カ月連続で発生したタンカー攻撃事件を受け、船舶戦争保険料が高騰している。事件発生前と比べ、危険海域への航海で発生する割増保険料が約10倍に上昇した。VLCC(大型原油タンカー)の場合、戦争保険の保険料の支払いは、石油会社などの荷主(用船者)が負担するケースが一般的。現段階でいつまで足元の高い保険料が続くかは不明だ。長期化すれば、運航コストの上昇を嫌気する機運が高まり、配船先の分散なども起こる可能性がある。

 船主は海難事故などに備え、船体保険に加入する。戦争保険は主契約の船体保険に対する特約、追加オプションという位置付け。戦争などで受けた船舶の損害や船員の被害などを補償する。

 戦争保険では対象エリアを、平常の状態である「一般水域」と、国際的に緊迫した状態にある「除外水域」に分類。除外水域を航行する度に割増保険料が発生する。現在、上昇しているのは、この除外水域の割増保険料だ。

 除外水域の範囲は英ロンドンの保険者などで構成される組織「共同海事委員会」(JWC、ジョイント・ウォー・コミッティ)が設定。それを日本の保険会社も追随し、適用している。

 JWCは5月の中東フジャイラ沖でのサウジアラビアのタンカーなど4隻が攻撃を受けた事件後、除外水域を拡大。中東沖の中で除外水域をオマーン、アラブ首長国連邦(UAE)、ペルシャ湾周辺(オマーン湾の東経58度以西を含む)にまで広げた。

■割増保険料10倍に

 2カ月連続で発生したタンカー攻撃事件で、足元の除外水域の割増保険料は約10倍にまで上昇した。船主、保険会社間の個別の契約によって料率は異なるが、事件前はおおむね0・025%だったものが、事件後は0・25%程度にまで高騰しているという。

 仮にVLCCの船体価格が約100億円の場合、1航海当たり2500万円の保険料が発生する計算になる。保険料の負担は一義的には船主が負うことになっているが、VLCCの場合、用船者が支払うケースが多いという。

 邦船社のタンカー担当者は「VLCCは定期用船で石油会社の指示の下、危険区域に入るかどうかも含めて、配船先を決定するのが主流。そのため、『戦争保険は用船者が支払う』とあらかじめ用船契約で規定することが商慣習になっている」と説明。戦争保険に関しては、船主が負担するケースは一部に限られるようだ。

 現段階でいつまでこの事件前比10倍の高水準が続くかは不明。長期化すれば、運航コストがかさむため、用船者が中東への配船を嫌気し、原油の調達先を分散させる可能性も出てくる。

 7月上旬に、一部の船主が配船先を中東から米ガルフに変更する事態も表面化したが、足元では分散化の動きも治まっている。「ただ、長い目で見て、保険料の高騰が続けば分散も起こり得る」(邦船社の担当者)

 また、戦争保険のほかに船体保険の特約には、船が不稼働になった際の収入を補う「不稼働損失保険」もある。同担当者は「不稼働損失保険の保険料も上昇している。同保険は船主負担の場合が多い」とし、今後の動向を注視している。