2019 日本コンテナ航路一覧
電子版6つのNEW top03
 印刷 2019年07月18日デイリー版4面

記者の視点】高橋郁夫:東京港の交通問題/CT拡張機に施策の積極展開を

 今月1日から3回にわたった本紙連載「検証・五輪まで1年-あえぐ東京港」。国内最大のコンテナ港湾である同港の交通問題について、ターミナルオペレーター、陸送事業者、そして港湾管理者ら関係する各主体の置かれた現状や取り組みを紹介した。

 コンテナターミナル(CT)周辺の交通混雑で車両回転率が低下し、事業継続性に赤信号がともる状況に追い込まれる陸送事業者、限られた人員で業務に追われ、ゲートオープン時間の延長などで現場に一層負荷がかかり疲弊するターミナルオペレーター。東京港の交通問題について、双方の立場を取り上げた類例の無い企画だったと思う。

 東京港が抱える問題は、高度経済成長期の輸出主体型の貿易構造が、長い低成長時代と製造業の海外移転で輸入主体型へと変わった、日本経済の変化の縮図でもある。

 現在に至るまで国内で最も枢要なCTとして機能する東京港の大井コンテナ埠頭は、アジア発北米向けコンテナ貨物量のシェアで日本がトップだった1970年代前半に完成したが、その奥行きは当初370メートル。「輸出型ターミナル」としては十分だったが、現在では取り巻く状況が大きく変わった。

 その後の再整備(岸壁エプロン部の前出し)で奥行きは405メートルまで拡充されたが、現在整備している高規格CTの奥行きが500メートルで設計されているのに比べれば、まだ物足りない水準だ。

 大井に次ぐコンテナ物流拠点として対岸に整備された青海コンテナ埠頭に至っては、公共CT主要部の奥行きが237メートルしかない。85年の供用当初は利用が低調だったので問題は生じなかったが、現在はここに中国船社の利用が集中。蔵置能力の低さから、繁忙期にはコンテナ船の沖待ちも発生する、同港で最も混雑が目立つCTの一つとなっている。

 国際コンテナ物流が輸入主体となる中、国内屈指の一大消費地である首都圏に近接した東京港に航路・貨物が集まる一極集中の状況。港湾管理者の都や港湾運送事業者は早朝ゲートオープンの実施や車両待機場、ストックヤードの確保などさまざまな施策を進めるが、利便性が高まった分さらに貨物が増える状況が繰り返されている。

 大都市東京の臨海部にあり拡張余地が無かった東京港だが、最後の開発空間となるのが中央防波堤地区だ。来年には中防外側地区にY2バースが完成し、現在の青海A3ターミナルの利用船社に加え、青海公共ターミナルの相当数の利用船社が新ターミナルに移転する。これにより青海の負荷が低くなり、交通混雑がどれだけ緩和されるかが大きな注目点となる。

 今後は一時的に空いた青海の一部の再編整備・高規格化、さらに中防外Y3バースの整備と、ここにきて東京港の能力増強が目に見える形で動きだした形だ。これを機に、将来を見据えた積極的な施策が求められる。

 例えば、青海公共CT直背後に立地する青海流通センターの移転によるヤード拡張。また、遠隔操作・自動化トランスファークレーンの導入による夜間のコンテナヤード荷繰りの無人化。さらには大井コンテナ埠頭北側からの一体運営の促進。これらにより、現有施設の能力をさらに高めることができる。コンテナ物流のボトルネック解消が日本経済にもたらす効果は大きい。労働者不足の深刻化なども契機に、関係者の挑戦に期待したい。