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 印刷 2019年07月16日デイリー版4面

記者の視点】岬洋平:デジタル時代の新思考/変化のタイミング見据えよ

 デジタル化に関する話題がメディアに載らない日は無い。海運・物流業界もご多分に漏れず、さまざまな取り組みが行われている。例えば、ブロックチェーン(分散型台帳)技術で言えば、いわゆる仮想通貨以外で実運用に入った先進的な業界の一つになっている。

 業界を騒がせる言葉の一つに、「デジタルフォワーダー」がある。米フレックスポートに代表される、船腹のブッキングから輸送工程の可視化まで一連の業務を全てオンラインで提供する新業態だ。主にEC(電子商取引)など、貿易実務に精通していない中小企業のニーズを取り込み、欧米や中国などで急成長している。一部では倉庫などのアセットにも投資し、実物流に進出する動きもあり、脅威を感じる既存事業者もいるようだ。

 ただ、日系大手フォワーダー首脳は「(デジタルフォワーダーの)研究はしているが、現時点で彼らの顧客層はわれわれが勝負しているフィールドではないとみている」と語る。国際貿易の特性上発生する、さまざまな変更にも柔軟に対応できるフォワーダーの機能は依然として重要とみている。

 既存フォワーダー、スタートアップ企業の双方のコメントを聞く限り、当面は「デジタルが効く分野」「アナログが効く分野」と、ニーズが二極化していくという見方が強いようだ。

 「DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が通じない。デジタル側の人は、そもそもトランスフォーム(変化)する必要がないから」

 邦船社で最も先進的なデジタル化の取り組みに注力する日本郵船。同社の鈴木英樹経営委員デジタライゼーショングループ長は多様なデジタル人材と接点を増やす中で、意外な壁にぶつかったという。「デジタルが当たり前」の世代とのコミュニケーションから得られた新たな気付きに、「視界が広がった」(鈴木経営委員)。

 デジタルネーティブ(幼少期からインターネットなどデジタル環境の中で育ってきた世代)が増えてくれば、ビジネスのやり方は大きく変わる。

 デジタルフォワーダーの動きに加え、マースクが船腹確約型オンラインブッキングを開始するなどデジタル化の潮流は止まらない。ブッキングから決済まで全ての工程、貿易書類(データ)のやりとりがオンラインで完結するのが一般的になる時代が確実に来るだろう。

 しかし、経営的観点から言えば、問題は「いつそうなるか」だ。対応が早過ぎても過剰投資になり、場合によっては既存顧客のサービス満足度を大幅に下げる。一方、遅過ぎれば市場から退場することになりかねない。

 どのタイミングで何を仕掛けるか。経営者の才覚が問われる。