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 印刷 2019年07月12日デイリー版1面

インタビュー 星港から世界へ―邦船大手の不定期船拠点】(中):NYKバルクシップ・アジアマネジングディレクター・岸剛史氏/中国出し「再生油」注目(その1)

NYKバルクシップ・アジア マネジングディレクター・岸剛史氏
NYKバルクシップ・アジア マネジングディレクター・岸剛史氏

 --NYKバルクシップ・アジアの現在の事業体制は。

 「当社の事業は『自主運航部門』と『本社営業REP部門』に分かれる。自主運航部門はMR(ミディアムレンジ)型プロダクト船10隻、メタノール船3隻、ポストパナマックスバルカー4隻の営業、運航を担っている」

 「一方、本社営業REP部門は、東京本社の方針に沿い、シンガポールを拠点に将来の荷動き伸長が見込まれる東南アジアでの既存船の集荷に加えて、将来の長期安定契約につながる営業活動を実践している。実績も積み上がり、今後も案件がめじろ押しだ」

 「人員体制は約20人。自主運航部門はタンカー営業担当3人とオペレーション担当7人、本社営業REP部門はドライ担当5人、エネルギー担当3人が働いている。総務、経理、人事機能はグループ会社のNGSA社、FTC社からシェアードサービスを受けている」

■スクラバー注力

 --MR船隊の運営方針は。

 「2018年度は船隊構成の整備を推し進めた。具体的にはトレード汎用(はんよう)性の高いイージーケミカル(パーム油など)対応のIMO(国際海事機関)タイプII・III船の整備に加えて、スクラバー搭載に注力した。スクラバー搭載は新造船2隻とレトロフィット(既存船への改造)1隻を決定している」

 「一方、イージーケミカル非対応の汎用型MRの売船・返船を推進。かつては20隻規模を運航していたが、18年度に売船4隻と用船期間満了に伴う自然減が進んだことで、足元は10隻体制となっている。今年度中に船隊のほとんどがIMOタイプII・III船となり、核となる船隊の整備は一段落する。新造発注残は来年前半竣工予定の2隻を確保している」

 「運航船の投入先はTCアウト(定期貸船)3-4隻程度を維持し、自主運航船6-7隻の半分に当たる3隻をスクラバー搭載とすることで市況耐性を高め、安全かつ安定したサービスで新旧の顧客のご要望に応えていきたい」

 --メタノール船はどうか。

 「現行3隻を運航しており、今年9月には、いよいよメタノール2元エンジン船も竣工し、4隻体制となる。最近では欧米のメタノールの用船者からもいろいろな問い合わせを受けるようになった。将来的に需要も増えるコモディティーなだけに、米ヒューストンのNYKエナジートランスポートUSA社とも連携して長期契約を締結できるようにしていきたい」

■ガス案件を開拓

 --本社営業REP部門の取り組みは。

 「LNG(液化天然ガス)を中心としたエネルギー部門では担当者3人がLNG船や東南アジア域内の新規ガス・ツー・パワー案件、FSRU(浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備)/FSU(浮体式LNG貯蔵設備)、LNGバンカリング(燃料供給)などの営業を担っている」

 「ドライ分野は担当者5人(NYKバルク・プロジェクトからの出向者含む)が集荷窓口や東南アジア域内の新規発電所EPC案件、パルプから車両までのプロジェクト貨物の営業を展開している」

 --注目している貨物は。

 「GHG(温室効果ガス)削減の枠組みで欧州でも今後、バイオディーゼル燃料の需要が高まってくる。バイオディーゼルを精製する上で燃料油に混入する再生油(回収した食用油など)の調達については、欧州域内だけでなく中国からの輸入を増やす新しい動きもある」

 「石油製品は化学原料、発電・輸送の燃料に大きく分けられる。特に後者に大きく影響する環境規制については、船の運航面での対策を立てるだけでなく、燃料油で今後何がどう動いていくのかをしっかりと予見しながら船隊整備を行っていく必要がある」(2面に続く)

 きし・たけし 92(平成4)年早大政経卒、日本郵船入社。08年NYKバルクシップ・アジアディレクター、10年パナマックスグループチーム長、15年タンカーグループチーム長、16年タンカーグループ長代理、17年4月から現職。49歳。