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 印刷 2019年07月12日デイリー版3面

IAPH日本セミナー/CT自動化の潮流紹介。中国・広州総会概要など報告

今回で32回目となる「IAPH日本セミナー」(10日、東京都内)
今回で32回目となる「IAPH日本セミナー」(10日、東京都内)

 国際港湾協会(IAPH)日本会議(中尾成邦会長)と国際港湾協会協力財団(同)は10日、東京都内で「IAPH日本セミナー」を開催した。今回で32回目となる同セミナーでは、今年5月に中国・広州で開催された第31回IAPH総会の模様などが報告され、世界の主要コンテナターミナル(CT)で進展する自動化、情報化などの動向が国内の港湾関係者に紹介された。

 今年のIAPH総会は5月7-9日の3日間の会期で開かれた。基調講演と3つの分科会で、革新的新技術や中国の「一帯一路」政策、クルーズ需要への対応、寄港最適化などのテーマで意見交換が行われた。

 基調講演では中国船社COSCOシッピングや華為技術(ファーウェイ)の担当者が港湾物流・ターミナル運営のスマート化などの取り組みを紹介。また分科会で「港湾業界の破壊的リノベーションによる挑戦」とのテーマで、ファーウェイ、世界最大手の港湾荷役機械メーカーZPMC、天津港、青島港、韓国の釜山港湾公社(BPA)が取り組みを発表した。

 日本セミナーで分科会の概要を報告した福岡市港湾空港局の杉村佳寿理事は、港湾作業のさまざまな領域での自動化、スマート化が進展し、「車体と道路が自動連携する新時代の埠頭」の形成が進んでいることを紹介。上海港を運営するSIPG(上海国際港務集団)の事例として、自動化技術によりヤード内トレーラー3台を1人で操作することで人件費を70%削減し、ガントリークレーンの荷役能力向上で運営効率を30%高めていることなどが分科会で発表されたとした。

 また、青島港、釜山港の取り組みでは、ブロックチェーン(分散型台帳)技術やビッグデータを活用しながら、クラウドベースの港湾物流情報プラットホームの構築とCTの自動化などが同時進行で進展していることを紹介した。

 杉村氏は「世界各国のCT自動化は、基本的に同じ改善内容を異なるアプローチで取り組んでおり、BPAや中国港湾が進めている港湾物流情報の高度化は、国土交通省港湾局の港湾の完全電子化・港湾関係データ連携基盤の構築と類似している」と指摘。「将来的には港湾、道路交通、気象情報、遠隔地(インランドデポや海外港湾など)へとネットワークを拡大していく」との方向性も示した。

 一方で、分科会に参加した各国の港湾関係者からは「コンテナ船の超大型化やCTの全自動化、AI(人工知能)活用に関しては、予算上の制約も含めどこまで対応するべきか、技術的な基準でも予算確保でも困っているとの声が多かった」とし、「IAPHのような組織を通じ、世界的な基準の統一を支援していく必要性が感じられた」とコメントした。