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 印刷 2019年07月12日別版特集10面

清水港特集】クルーズ船を呼ぶ人・港

富士山を背に航行するゲンティン香港のクルーズ船
富士山を背に航行するゲンティン香港のクルーズ船
将来の日の出埠頭(完成イメージ)
将来の日の出埠頭(完成イメージ)
表・グラフ

 清水港客船誘致委員会による長年にわたる取り組み、富士山の世界文化遺産登録による世界的な知名度向上などにより、清水港に寄港するクルーズ船が増加している。2017年には国土交通省から国際旅客船拠点形成港湾に指定。パートナー船社であるゲンティン香港(GHK)のクルーズ船を含め、30年には175回の寄港・発着を目指す。

 1991年度から01年度までが合計で83隻、02年度から13年度までが合計で68隻だった清水港へのクルーズ船寄港数は、13年の富士山世界文化遺産登録、17年の国際旅客船拠点形成港湾指定を契機に増加してきた。14―16年度の寄港は毎年10隻台で推移。17年度からはさらに増え外国籍船31隻を含め41隻、18年度は台風の影響で寄港中止があったものの、外国籍船26隻を含め31隻が寄港した。19年度は外国籍船36隻を含め44隻の寄港を予定している(19年6月時点)。

 19年は開港120周年記念事業として誘致も積極的に行われ、4月からの半年間で7隻の外国籍船が初寄港となる。4月には「セブンシーズマリナー」(48,075総トン、乗客定員700人)「アザマラクエスト」(30,277総トン、同694人)が初寄港。26日には日の出埠頭にこの2船、興津第2埠頭に「ノルウェージャンジュエル」(93,502総トン、同2376人)が着岸し、清水港初の3隻同時寄港となった。8月には米プリンセスクルーズが運航する「マジェスティックプリンセス」(143,000総トン、同3560人)が寄港。18年に就航し中国・台湾発着のアジア周遊などに投入されている「マジェスティック」は、清水港に寄港するクルーズ船でこれまでの最大船型となる。

 20年4月には英キュナードラインが運航する「クイーンエリザベス」(QE、90,900総トン、乗客定員2081人)も寄港を予定している。

■国際旅客船拠点形成港湾に指定

 清水港は17年、国交省から「国際旅客船拠点形成港湾」の指定を受け、同12月に「清水港国際旅客船拠点形成計画」を策定・公表した。

 官民連携で進める国際旅客船拠点形成港湾は、港湾管理者と大手クルーズ船社が協定を結び、共同提出した計画に基づいてハードとソフトを整備する取り組み。清水港のほか横浜、佐世保、八代、本部、平良、鹿児島、下関、那覇が指定を受けている。

 清水港では、管理者の静岡県と、香港に本社を置くクルーズ船社GHKが連携する。18年3月には、レイモンド・リムGHK上級副社長と川勝平太静岡県知事が協定書を取り交わした。

 今後、GHKの投資により、日の出埠頭に旅客ターミナルを整備する。現在の清水マリンターミナルを改修・増築し、ファーストポート・ラストポートとして1000人単位の乗船客が円滑に乗下船できる規模を想定。ターミナルはCIQ(税関・入出国管理・検疫)や観光案内などを備える。20年4月に供用開始し、GHKが主体となり管理運営する。

 GHKはターミナルに投資することで、日の出埠頭4―5号岸壁のうち、必要延長を優先利用することができる。優先予約可能な期間は22年1月から15年間で、優先予約可能日数は毎年105日。運用開始後、GHK運航のクルーズ船は週1回の寄港を予定し、20年は15万総トン級52隻、6万総トン級1隻で合計53隻の寄港を目標とする。30年までには週1回の同港発着クルーズを実施する計画で、同年の目標値を20万総トン級104隻、6万総トン級1隻の合計105隻としている。

 寄港数の増加に向けた対応として、GHKとその他船社のクルーズ船が同時着岸できるよう、国交省において日の出埠頭岸壁の整備を進める。日の出埠頭は現在、1号岸壁(延長80メートル、水深4.5メートル、以下同)、2―3号岸壁(260メートル、7.5メートル)、4―5号岸壁(480メートル、12メートル)からなる。

 今後、1―3号岸壁を水深12メートルに増深改良することで、総延長820メートル、水深12メートルの連続2バース(貨客併用の日の出新1号岸壁とクルーズ船専用の日の出新2号岸壁)として運用する。16年に係船柱改良工事を行い、現在は世界最大クラスの22万総トン級も着岸できる。

 静岡県は引き続き、GHKが運営するクルーズラインの母港化、北東アジアクルーズの東日本における拠点化に向けた取り組みを進める方針だ。

■「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟する駿河湾

 清水港のある駿河湾は、16年から「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟している。世界で最も美しい湾クラブは、湾の自然遺産の保護、湾の持つ独自性の保全、経済開発との共存を実現しつつ湾周辺の生活、伝統を尊重することを活動理念とする仏ヴァンヌ市に本部を置くNGO(非政府組織)。19年1月現在、世界27カ国・44湾が加盟する。

 駿河湾の魅力の一つに、豊かな自然の景観がある。沿岸の7市4町をはじめ、湾の全域から富士山を望むことができるほか、静岡市の日本平、三保海岸からは富士山と駿河湾を一望することが可能。最南端にある御前崎市からはさらに、伊豆半島までの眺望が楽しめる。眼前に富士山がそびえる景色を眺めながら入港するのは、清水港に寄港するクルーズの大きな魅力だ。

 沿岸は国立公園や自然公園に指定される。湾の東側の海岸部は、海底火山がつくるダイナミックな景観が特長。生物の宝庫でもある駿河湾は、日本に生息する魚類2300種類のうち約1000種類が生息し、サクラエビ、深海のタカアシガニなど多様な生命が育まれる。

 静岡県は今後、加盟する他湾とも連携しながら、世界に向けて駿河湾の魅力を発信する。駿河湾の知名度が向上することで、清水港へのクルーズ船寄港誘致効果も期待される。