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 印刷 2019年07月10日デイリー版2面

規制適合油/今秋JXTG・コスモが供給。出光は来年1月から。プラッツ講演

表・グラフ

 米調査大手S&Pグローバル・プラッツは9日、東京都内で「コモディティーフォーラム」を開き、小正路博之エディターが石油元売り各社の船舶SOX(硫黄酸化物)規制対応について講演した。規制適合油の硫黄分0・5%A重油と同C重油の供給開始時期は「JXTGエネルギーが10月、コスモ石油は今秋、出光興産の公式見解は来年1月」を予定する。

 小正路氏の講演要旨は次の通り。

 規制対応装置の投資額は出光興産120億円、コスモ石油150億円を予定。JXTGは余剰となる高硫黄C重油の転用のための設備投資を検討しているが、詳細は明らかにしていない。

 国内バンカー需要の40-50%を供給する最大手のJXTGは、10月からの規制適合油の供給開始に伴い、硫黄分1%の高硫黄A重油の供給を基本的に停止する方針。

 出光興産はスクラバー(排ガス浄化装置)搭載船向けに硫黄分3%の高硫黄C重油の供給も継続する。北海道製油所(苫小牧市)と愛知製油所(知多市)は既にボトムレス(重油留分が出てこない装置構成)化しており、約20億円を投じて有休タンクを改修し高硫黄重油と軽油留分などを混合する配管を敷設する。

 さらに千葉製油所(市原市)には100億円を投じ、来年6月までに重油直接脱硫装置、21年6月までに残油流動接触分解装置(RFCC)の処理能力を増強する。

 コスモ石油の千葉製油所(市原市)は18年度中にボトムレス化し、昨夏からJXTG千葉製油所(同)と海底パイプライン経由で半製品を相互融通している。設備対応では8月末-10月の定期修理時期に110億円をかけて堺製油所(堺市)の重質油熱分解装置(コーカー)を増強。その他の触媒除去装置の設置などに40億円を投じる。

 太陽石油は既にボトムレス化し、バンカーを販売しておらず、規制適合油も供給しない方針。

■プレミアム幅

 今秋以降の硫黄分0・5%C重油の価格は、JXTGが四半期ごとに公表している「C重油体系価格」の0・5%価格にプレミアムが上乗せされる見通し。

 プレミアムの根拠には軽油を大量にブレンドすることに加え、基材の転送や2次装置、タンク、パイプラインへの投資が追加で発生することが挙げられている。

 19年4-6月期のC重油体系価格(1キロリットル当たり)は硫黄分3%が5万5750円、硫黄分0・5%が6万500円。

 硫黄分を下げるため、ガソリンよりも2500円高値で売れる軽油を大量に混ぜれば、かなりのコストアップになる。現時点では、0・5%C重油の体系価格に乗るプレミアム幅が2000円以上になると、0・5%A重油と価格が逆転する。

 ブレンド比率については、高硫黄C重油3割、軽油7割という意見がある一方、元売り関係者からは「そこまで(軽油を)混ぜるとスペックアウトする」という説明もあった。