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 印刷 2019年07月10日デイリー版3面

伊勢・三河湾/台風で走錨防止へ警告強化。錨泊自粛海域も設定へ

8日、名古屋市内で開かれた調査研究特別専門委員会
8日、名古屋市内で開かれた調査研究特別専門委員会

 【中部】伊勢湾海難防止協会(名古屋市、八木嘉幸会長)は8日、名古屋市内で「伊勢湾・三河湾における台風避泊に関する調査研究特別専門委員会」を開催した。LNG(液化天然ガス)専用桟橋、シーバース、中部国際空港など伊勢湾、三河湾内にある特定施設の周辺海域を対象とした船舶への情報提供強化、錨泊自粛海域の設定など、走錨に起因した事故の防止策が出され、意見交換。これらは試行運用を経て、本格運用に入る。

 昨年、台風21号による強風で走錨したタンカーが関西国際空港連絡橋に衝突した事故を受け、海上保安庁は10月、再発防止に向けた有識者検討会を設置。関西国際空港付近だけではなく、全ての海域で同種の事故防止対策を検討する必要があるとした報告書をまとめた。

 それを受けて今回、伊勢湾海難防止協会の主催で、学識経験者、海事関係者、官公庁、施設管理者などが出席し、本委員会が行われた。

 新たな対策の1つ目は情報提供の強化。伊勢湾北部海域の名古屋港L1・L2桟橋、四日市港E1桟橋、昭和四日市石油シーバース、コスモ石油シーバース、伊勢湾シーバース、中部国際空港、伊勢湾南部海域および三河湾の渥美火力発電所揚油桟橋の周辺海域が対象となる。北部では風速12メートル以上の風が継続している場合に、対象施設の半径1マイル(1・8キロメートル)以内の海域で錨泊または錨泊しようとする船舶に対し、名古屋港海上交通センターからAIS(船舶自動識別装置)メッセージによる警告情報の提供、半径0・5マイル以内ではVHF無線による警告情報の提供を行う。

 南部および三河湾では海上台風警報か海上暴風警報の発令時、または平均風速がおおむね25メートル以上の風が継続しているときに伊勢湾海上交通センターから同様の情報提供を行う。

 これまでも走錨注意情報などは流してきたが、さらにプッシュ型の警告情報とすることで事故防止につなげる。情報提供の強化については、委員会に先立ち6月1日から試行運用されている。

 委員会では2つ目の対策として、中部国際空港を特定の4点で囲んだ1・5マイル以内を錨泊自粛海域、1・5-3マイルを除外条件付きの自粛海域とすることが了承された。周知期間を経て7月22日から試行運用する。罰則規定などはない。

 昨年の事故同様、空港の連絡橋に衝突した場合は影響が甚大だとして、常滑港内の船舶に対する避難勧告は6月1日から改正している。

 2009-18年の伊勢湾・三河湾での走錨による事故は7件。今回対象となった施設で事故は発生していない。

 試行運用の後、8月か9月に開かれる第2回委員会を経て本格運用となる予定。詳細は第四管区海上保安本部のホームページで確認できる。