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 印刷 2019年07月09日デイリー版1面

アリババの物流ロボ上陸/QTジャパン、初年度200台めざす。世界最高水準のAI導入

クイックトロンのAI物流ロボット。1日10万件の出荷にも対応
クイックトロンのAI物流ロボット。1日10万件の出荷にも対応
大島CEO
大島CEO

 クイックトロン・ジャパン(QTジャパン、大島真一CEO〈最高経営責任者〉)は、中国EC(電子商取引)最大手アリババグループが運用しているAI(人工知能)物流ロボットを日本で本格展開する。世界最大のネット通販セール「独身の日(ダブルイレブン)」などで、1日当たり10万件の出荷にも対応してきたAIを強みに日本市場を開拓。初年度の2019年11月期は200台の導入を目指す。物流現場での人手不足が深刻化する中、大島CEOは「日本の物流現場の知恵と工夫にAIを組み合わせ、相乗効果を出すことで、物流の課題解決を支援したい」と意欲を示す。

 QTジャパンは昨年12月、金融業界出身の大島CEO、中国ビジネスに知見を持つ齋藤誠一郎取締役らが設立した。中国のAI物流ロボットメーカー、クイックトロン(上海快倉智能科技)の正規販売代理店としてロボットの販売から導入、保守・メンテナンスなどを手掛ける。

 クイックトロン社は14年に設立。ニトリなどが導入した印系グレイオレンジの「バトラー」、アッカ・インターナショナルなどが採用した中国ギークプラスの「イブ」と同様、自動搬送車(AGV)タイプの物流ロボットを主力としている。ロボットが商品の保管棚を持ち上げ、ピッキング担当者の待つ作業場に搬送。人はピッキングや商品の補充のために歩く必要がなくなる仕組みだ。

 これまでに中国、韓国、マレーシア、シンガポールなどでEC、物流、リテール(小売り)など50社以上に5000台以上を納入した実績を持つ。受注残は1万台。昨年度の売上高は2億元(約30億円)。

 5000台のうち1000台はアリババグループ向けで、同グループにとってクイックトロンはAGVの最大サプライヤーの位置付けだ。アリババグループの物流企業、菜鳥網絡(ツァイニャオ・ネットワーク)からは、2億元(約30億円)の出資も受けている。

 クイックトロンのロボットの特長の一つは、物量のピーク時でも時間内に業務を処理するスピードだ。アリババグループの中国・無錫の倉庫では、700台以上で1日当たり通常4万-5万件の注文を処理している。それが独身の日などのセール時には、1日当たり10万件に達することもある。

 同社のAIは、処理速度が最も早くなるよう、各ピッキング作業場に業務を割り当てるアルゴリズムを備える。アリババグループの物流現場で膨大なデータを蓄積し、ディープラーニング(深層学習)を通じて精度を上げる。これにより、オペレーションの最適化が進む。

 QTジャパンの大島CEOは「700台のロボットを破綻なく制御するのは非常に難しい技術。世界最高水準の完成度を持つAIが優れた現場で使われ、どんどん賢くなっている。あとから追いつくのは困難だろう」と評価する。

 ロボット導入の目安はSKU(在庫の最小管理単位)500以上、1時間当たりのピッキング処理100件以上、ピッキング専属の作業人員8人以上。導入効果として、作業効率を2-4倍に引き上げることが期待でき、処理可能な受注件数も増加が見込める。これにより、中国では50-70%の人件費削減効果が望めるという。上海近郊の日系企業の倉庫では、ピッキング担当者を50人から12人に減らしながらも、ピッキング処理量を4倍に拡大できた。投資の回収期間は3年弱だ。

 QTジャパンは、物流コンサルティングの船井総研ロジから出資を受けている。今後はエンジニアを中心に人員を拡充し、本格的な提案・サポート体制を整える計画だ。

 クイックトロンは仕分けロボットを中国郵政に納入するなど、製品のラインアップを拡充している。

 AGVがより柔軟に動ける次世代システムも開発しており、将来的には日本でも販売を検討する。大島CEOは「最先端の技術とAIを広め、人がロボットを気軽に使いこなして労働から解放される時代を目指したい」と将来を描いている。