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 印刷 2019年07月08日デイリー版1面

期末決算を読む】(3):川崎汽船/自己資本の改善、黒字化へ

表・グラフ

 川崎汽船の2019年3月期連結決算は、経常損益が489億円の赤字だった。コンテナ船と自動車船の不振が響き、前の期の経常利益19億円から大幅に悪化した。

 二瓶晴郷代表取締役専務執行役員は前期の決算について、「(コンテナ船事業の統合会社)ONE(オーシャンネットワークエクスプレス)のファーストイヤーのつまずきが当社の決算にも大きく影響した」と総括した。

■自動車船は改善

 コンテナ船事業を含む製品物流セグメントの経常損益は、前の期の58億円の黒字から一転して492億円の赤字に落ち込んだ。

 コンテナ船事業の損失が488億円(前の期83億円の赤字)に膨らんだことが主因だ。ONEの持ち分法投資損失201億円のほか、コンテナ船の用船契約損失引当金151億円を計上したことが重しになった。

 コンテナ船のつまずきに加え、自動車船事業の収支悪化も押し下げ要因になった。

 南米の自動車販売市場が不調だったほか、欧州域内の新排ガス・燃費規制導入による販売減少などで、自動車船の運航効率が悪化。同事業として損失を計上した。

 収支悪化を受けて自動車船は、前期の下半期に航路改編や運賃修復に着手。55億円の損益改善効果につながった。

 「高品質な完成車輸送サービスを提供し続けるために、プラスアルファの改善効果を目指す」(二瓶氏)考えだ。

 コンテナ船と自動車船が苦戦した半面、ドライバルクとエネルギー資源の両セグメントは順調だった。

 ドライバルクの経常利益は44億円となり、前の期の1億円の赤字から黒字転換を果たした。

 荷主との中長期契約に従事する鉄鋼原料船ケープサイズやチップ船が安定収益を計上。中小型バルカーは運航規模を期初の127隻から103隻まで圧縮し、市況エクスポージャー(市況変動にさらされる部分)を縮減した。

 エネルギー資源は経常利益25億円を確保した。下期の市況回復を追い風に、前の期の4億円の黒字から大幅な増益となった。

 中長期契約中心のLNG(液化天然ガス)船やLPG(液化石油ガス)船、VLCC(大型原油タンカー)、電力炭船が安定収益の確保に貢献。原油船市況回復も一定程度享受した。

 同社は事業ポートフォリオの見直しを進めており、前の期には重量物船事業を売却。それに続き、石油製品を運ぶプロダクトタンカーから撤退することも決めた。

 さらに、ノルウェー子会社が手掛ける海洋資源開発向けオフショア支援船事業の構造改革も検討していく。

■自己資本を拡充

 当期純損失は1111億円となった。用船解約金や減損損失など605億円の特別損失を計上したことによる。前の期の純損益は103億円の黒字だった。

 前期は519億円の構造改革費用を投じ、23隻(内訳=コンテナ船17隻、ドライ船6隻)の用船契約を解約した。今期業績に110億円の構造改革効果を見込む。

 構造改革を敢行したことで、財務指標も悪化。自己資本は18年3月末の2170億円から1035億円に半減。自己資本比率は20・9%から10・9%へ10ポイント下落した。

 棄損した自己資本は、国内港湾運送事業のパートナーとの提携や非コア事業の売却などで200億円、海外ターミナル事業の譲渡などで170億円拡充する。

 4月にはみずほ銀行、日本政策投資銀行、三井住友信託銀行から劣後ローンで450億円を調達。そのうちの約225億円が資本性劣後ローンのため、これを加味すると自己資本比率は16%に改善する。

 配当は財務体質改善を喫緊の課題と捉え、前期は無配を継続。今期の配当予想は未定としている。

 川崎汽船は今期の黒字化を必達目標としている。二瓶氏は今期決算のポイントとして、ONEの黒字化、自動車船事業の収支改善、船舶SOx(硫黄酸化物)規制対応の3つを挙げた。

 燃料油に対するSOx規制強化に関して二瓶氏は、「燃料消費量はコンテナ船を除き年260万トン規模。規制適合油の価格はトン当たり150-200ドル上がるとされる」とそのインパクトの大きさを強調。「BAF(燃料油割増金)で負担してもらうことになるが、多くの荷主が理解を示している」と述べた。

(随時掲載)